WRC2018/08/24

現役のラリードライバーがeスポーツWRCの王者に

(c)eSportWRC

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 eスポーツWRC選手権の2018年グランドファイナルで、イギリスのジョン・アームストロングが世界から集まったトップゲーマーとの争いを制して優勝を飾った。23歳の彼は2017年のeスポーツWRCのファイナルを見てインスピレーションを受けてから、わずかに1年にも満たない間にトップゲーマーとして成長した。しかも、彼は現役のラリードライバーだ!

 FIA世界ラリー選手権のオフィシャルゲーム「WRC7」を使用してオンラインで開催されているeスポーツWRC選手権は、今季で3シーズン目を迎え、現実の世界と同様に1月のラリー・モンテカルロで開幕、これまでに13戦を戦ってきた。

 2350人以上のゲーマーが参戦した今シーズン、上位で勝ち抜いてきた8名のファイナリストがラリー・ドイッチュランドのサービスに集結、金曜日のセミファイナルによって選ばれた4名が土曜日のグランドファイナルへ駒を進めることになった。このなかには、シーズン6勝を挙げてトップランカーとなったハンガリー出身のSUBEE203、シリーズ2位に輝いた昨年の王者であるフランスのNEXL、フィンランドのMihalur、イギリスのJONNOといったゲーマーにまじって、現実の世界でもラリードライバーでもあるアームストロングが異色ともいえる存在としてスタートラインに並ぶことになった。

 グランドファイナルは3つのステージを連続してその合計タイムで争われたが、まず第1ステージとなったポーランドのクルクランキで優勝候補のSUBEE203がコースオフして遅れ、アームストロングが首位に立つことになり、フランスのMihalurが7秒差で続くことになった。しかし、アームストロングは第2ステージとなったツール・ド・コルスのピエトロセッラのステージでインカットに失敗して横転、7秒のペナルティを科されてMihalurの逆転を許すことになってしまった。

 迎えた第3ステージとなったのはラリー・アルゼンチンの上りのエル・コンドル・ステージ。1.4秒をリードしてスタートしたMihalurを抜いたアームストロングが逆転、3.1秒差つけて逃げ切ってグランドファイナルの勝者に輝くことなり、チャンピオントロフィーとともに副賞のヒュンダイi20クーペを獲得している。

 ERCのサーキット・オブ・アイルランドでコリン・マクレー・フラットアウト・トロフィーを獲得したこともあるアームストロングは、トップゲーマーとしても世界の頂点に立った。

「信じられないよ。大きなミスの後、最後のステージで逆転できたとは思ってなかったよ。コルシカのミスで優勝のチャンスを失ったと思っていた。ばかげたミスだが、ワイドになってバンクにヒットして横転してしまったんだ」

 2016年にはDMACKフィエスタ・トロフィーのポーランドとスペインで優勝してシーズン3位になっているアームストロングは、スポンサーの問題からいまは実際のラリーに参戦するチャンスはもってないが、今回の勝利で現実のラリーにもカムバックするチャンスが生まれることを願っている。

「このゲームの練習には250時間以上を費やしたんだ。このスポーツをいかに愛しているのか証明したかったし、それが必要だと感じていたんだ。僕がまだ終わっていないと見せたいと思っていた。それが僕のモチベーションになったんだ」