WRC2017/10/10

貴元と大輝、今季最終戦は忍耐の一戦に

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元と新井大輝が、10月5〜8日に開催されたラリー・デ・エスパーニャのWRC2カテゴリーにフォード・フィエスタR5で参戦。勝田は初日にデイリタイアするも14位で完走、新井はリタイアとなった。

 勝田、新井にとって今シーズン5戦目のWRCイベントであるラリー・デ・エスパーニャは、デイ1のグラベルとデイ2、デイ3のターマックからなるWRC唯一のミックスサーフェスラリー。二人にとっては新たな挑戦でもあり、また本プログラムでの今シーズン最後のラリーとして、これまでのトレーニングの成果を発揮する集大成の場となるはずだった。

 しかし、勝田はデイ1最初のSS1でコーナーを曲がりきれずガードレールにヒット。同ステージは走りきり、ステアリングアームの損傷は修復したものの、パワーステアリングのダメージにより走行継続を断念、デイリタイアとなった。ラリー2ルールによりデイ2から再出走可能となった勝田は残る二日間、経験を最大限に得るために、完走を最重要視した丁寧な走りを貫き、クラス14位でラリーを終えた。

勝田貴元:「SS1の中盤、滑りやすいコーナーでガードレールにヒットしてしまいました。損傷が想像以上に大きかったため走行継続を断念しました。ペースノートに問題はなく、『ダブルコーション(要注意)』と入れていたのですが、少しスピードが速すぎて十分に落とすことができませんでした。翌日再スタートしてからは、経験を得るために残りのステージを走りきることだけを考え、ミスのない走行に徹しました。もう少し攻めた走りができなかったことは残念ですが、完走し、多くのことを学べてよかったと思っています」

 一方、新井はSS1、SS2でトップ3のタイムを記録するなど、スタートから良い走りを見せていたが、SS3でコースオフ。車両の損傷が大きく、リタイアを余儀なくされた。

新井大輝:「SS3に、ペースノート上で2つの似たコーナーが続いている箇所がありました。(英語での聞こえ方が似ているので)「ショートライト」と「フォーライト」を混同してしまい、コーナーに速すぎるスピードで入ってしまいました。その結果、バンクにヒットし転倒しました。このような小さな事でラリーが終わってしまいとても残念です。ですが、このミスの前までは、ラリー・スペインの経験があるドライバーたちに対して自分のスピードがとても良く驚きました。これまでなら、ラリーの最初からすぐに競争力のあるスピードで走ることができなかったので、自分の成長を感じることが出来ました」

 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムのチーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは次のようにコメントした。

「今回のラリーでは望んでいた結果が得られなかった。プログラムは順調に進んでいたが、ドライバー達にとってはプレッシャーが大きすぎたようだ。彼らはプレッシャーに打ち勝つことを学ばなければならない。新井は最初とてもよいステージタイムを出していたが、二人ともあまりに早くラリーが終わってしまった。勝田は再出走してからは完走へのプレッシャーで自然な走りができず、残念ながら今回のラリーでは両選手とも多くを得ることができなかった。しかし、全体的に言えば非常に良いシーズンだった。ドライバーたちは多くの努力に務めて大きく成長した。良いことも、悪いこともあったが、全ての経験を通し学び続けなければならない」

 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの今シーズンの参戦プログラムはこの一戦で終わりとなり、来年以降のプログラムについては、今後発表されるという。