WRC2018/06/16

イタリア、生き残るためには本土復帰か

(c)Hyundai

 ラリー・イタリア・サルディアには厳しい未来が待っているかもしれない。マニュファクチャラーチームは、ラリー・イタリアが2019年もサルディニアに留まる場合、このイベントへの参戦をボイコットする動きをみせるなど、サルディア島でのイベントへの批難を強めており、イタリアが世界ラリー選手権のステイタスを維持するためには、遠からず島から本土への帰還は避けられない状況にある。

 英オートスポーツによれば、マニュファクチャラーチームは、トッドFIA会長に宛てに送る手紙について、先週のイベント開催中にアルゲーロで話し合いを行ったが最終的には意見がまとまらずに物別れに終わったと伝えている。しかし、そうした強攻策への動きが決裂したとはいえ、もはやラリー・イタリア・サルディニアの存続を脅かすほどに批難の声が強まっていることは確かだ。

 イタリアのWRCラウンドは、当時のプロモーターがターマック・ラリーは魅力が少ないと断じ、2004年に伝統的なサンレモからサルディニア島に移ったが、当初から、島に行くためのロジスティクスの負担が大きいこと、そして観客の少なさやプロモーション的な価値の低さについてチームから批難がでていた。

 サルディニアではかつてオルビアをベースに伝統のコスタ・スメラルダ・ラリーが開催され、インフラはすでに完成していたが、この産業港町はイタリアのWRCラウンドを開催して以降、チームから支持されず、シチリア島やサンマリノでの開催が検討された時期もあったが、イベントは最終的にサルディニアに留まり、2014年に島の反対側のアルゲーロに移動したという経緯がある。

 しかし、イタリアのモータースポーツの統治機関、イタリアモータースポーツ連盟(CSAI)の関係者は、近い将来、ラリー・イタリアにさらなる動きがあることを認めた。

「我々は来年のカレンダーにイタリアが留まると信じている。しかし、2019年はここ(サルディニア)に留まるが、2020年に本土に移る。来年についても6月ではなく9月の開催に変更を求めている。以前に10月に開催した時(2004年と2012年)は、すべてがより容易だった。フライトはあまり混雑しておらず、選択肢が増え、さらに多くの人が訪れる。これは良い解決策だ」と彼は語っている。

 ラリー・イタリア・サルディニア主催団体の関係者は一様に今後についてのコメントを避け、イタリア自動車クラブ(ACI)ACI会長のアンジェロ・スティッキ・ダミアーニは今年のイベントの際、WRC All Liveのインタビューで、「イベントへの様々な意見に基づき、即座に話し合いと検討を行いたい」と述べていた。

 2019年のWRCカレンダーは9月に発表が予定されているが、新たに日本やチリがこれに加わる可能性があるとされており、サルディニアとともにコルシカ島で行われるフランス・ラウンドのツール・ド・コルスにも生き残るためのプレッシャーがある。

 これら島のイベントはともにチーム間で不評だが、同じ地中海の島という似通ったロケーションにあることから、そのどちらかした将来は残れない可能性が高いとされている。サルディニアの人口は160万人だが、コルシカの人口はわずか33万人であるため、もしサルディニアが来季残った場合には、コルシカがカレンダーに残る可能性はきわめて低いとされている。