WRC2020/09/03

エヴァンス、エストニアの不運を吹き飛ばせるか

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシングWRTのエルフィン・エヴァンスは、昨年のラリー・エストニアでは10週間にわたるラリー欠場を招いたケガを負っており、さらに今年もラリー・エストニアにむけたエストニアのテストイベントで大きなクラッシュを喫しているが、エストニアの高速ステージを苦手にしているわけでも不運に祟られているわけでもなく、今週末のシーズン再開戦となるイベントではそれを回避する方法を正確に知っていると語った。

 ウェールズ出身のエヴァンスは昨年、ラリー・エストニアのアルーラ・ステージのクレストで着地に失敗、腰椎を負傷したことで、フィンランドとドイツを欠場せざるを得なかった。そして、今年のラリー・エストニアでは10週間にわたるラリー欠場を招いた同じステージが最終日の朝に設定されている。

 エヴァンスは、着地のあと息が上がってしまい声を発せないままにスロットルが大きく開いた状態でステージを下った痛くて恐ろしい瞬間を繰り返さないようにするための方法を知っていると語った。

「エストニアの人工ジャンプについては多く話題になっているが、皮肉なことに、僕が引っかかったのは自然なジャンプの一つだった。その後で、そこが多くのクラッシュを引き起こしている悪名高い場所だと知ったよ」とエヴァンスは語った。

「正しいジャンプをするにはトリッキーなラインだった。それはS字に曲がったアプローチにちかく、ジャンプの前に右コーナーがあって、ジャンプの後に左コーナーがある。最初に右側をキープしていると、木の中に着地するような感じで、左をキープしているとディッチの上を飛んでいくような感じになる。正しいジャンプをするにはラインが重要になるので、基本的にはノートを調整して、ジャンプの前、右側から少しだけ離れたところをキープするようにするつもりだ」

 エヴァンスは、着地のあと息が上がってしまい、スロットルが全開の状態で声を発せないままにステージを下った痛くて恐ろしい経験を忘れられないと語った。

「僕はディッチの中に片輪だけで着地したが、問題はマシンがサンプガードで直接着地してしまったことだ。ホイールが接地する前にちょうど弱い部分に悪いやり方でヒットしてしまった」

「僕は即座に息切れしたが、最悪だったのは、スロットルペダルの側面を折ってしまったことだ。ペダルから足を外してもペダルが戻らず、床に置いてあるフットプレートの下に挟まっていた。何が起こっているのかを理解するのに時間がかかった」

「一番怖かったのは、息ができなくなってしまったこと。エンジンをリミッターにかけたまま道路を下ったが、(コドライバーの)スコットにも何が起こっているのか説明できなかった!」

 2019年のテストイベントでのクラッシュからほぼ1年が経過したが、エヴァンスは先月、ロウナ・エースティ・ラリーで行われたWRCのウォームアップイベントで高速クラッシュに見舞われたが、彼はここでも何が起きたのか正確に理解していると語った。

「マシンのフィーリングは良かったが、ペースノートが正確ではなかったために、高速コーナーでほんのわずかに早めに曲がってしまい、草に隠れていた切り株に当たってクラッシュしてしまった。しかし、これがイベントに影響することはなにもない」とエヴァンスは語った。

 エヴァンスはこのイベントに先立ってエストニアでもイベント前のテストを行っており、ヤリスWRCの高速ステージの走りにもバランスにも満足していると述べている。

「ロックダウンが終わってから2回ほどテストをしたので、そのおかげで調子を取り戻すことができた。これらのテストは典型的なプレイベントテストで、コンディションに合わせてマシンをチューニングするためのものだった。少しカットされていたが、かなり柔らかい道を見つけたので、幅のあるコンディションを見ることができた」

「ラリー・エストニアは、僕たちにとってヤリスでの初めての高速グラベルラリーなので、マシンがどう動くかのパラメータを理解するのに少し時間がかかった。僕らのクルマが、そのような高速グラベルロードで高い戦闘力を備えていることははっきりとわかったし、あとは本番で力を最大限発揮できることを願っているよ」