WRC2016/10/17

オジエ、スペイン優勝で4度目王座を決定

(c)Michelin

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 世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・デ・エスパーニャは16日に最終日を迎え、フォルクスワーゲン・モータースポーツのセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が今季5度目の勝利を獲得するとともに、4年連続4度目のワールドチャンピオンに輝いている。

 ラリー・デ・エスパーニャは最終日の日曜日、19.30kmのプラットディップと12.10kmのドゥエザイゲスの2ステージをサービスを挟んで2回ループする4SS/62.80kmの短い一日だ。オジエは二日間の戦いを終えて、ヒュンダイのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)を5.8秒リードして最終日を迎えることになった。

 8時5分に日の出となるため、7時24分というまだ暗いうちに始まったオープニングステージはあちこちが不連続で夜露に湿っており、ハードタイヤをチョイスしたドライバーたちは暗闇のなかグリップの判断が難しいステージに立ち向かうことになった。

 オジエはこのような罠を孕んだステージでは選手権を確実なものとするために慎重に走るかともしれないとも見られていたが、いきなりベストタイムで発進、ソルドとの差を8.4秒へと広げることになった。

 すでにドライバーズ選手権で2位につけていたアンドレアス・ミケルセンが土曜日にクラッシュアウト、最終日のリスタートを断念したことからオジエの王座はほぼ決定的となっている。すでにプレッシャーから解放されたオジエはSS17、SS18と連続して2番手タイムでフィニッシュ、ソルドに14.2秒差をつけて最終ステージを迎えることになった。

 この日最後のパワーステージは昨年と同じドゥゲザイエスのステージ。オジエは1年前、優勝目前でこのステージでまさかのクラッシュをしているが、今年は前半ではややペースを落としてスタートしたものの、問題となった断崖沿いを高速ですり抜けるセクションを走りきったあとはペースをアップ、最後の勝負をかけたソルドをここでも付け入るチャンスを与えずにヤリ-マティ・ラトバラに続く2番手タイムでフィッシュ、素晴らしい勝利で4度目のワールドチャンピオンを決めることになった。

「素晴らしい気持だよ。去年はここでは問題があったが、ここで勝つことでタイトルを決めることができた。タフなシーズンだったが、チームのおかげで素晴らしいシーズンになった」とオジエは喜びを語っている。

 悲願の地元戦で最後まで優勝のチャンスを信じたソルドだが、今回も母国勝利はお預けとなり、「本当にがっかりしている。セブにおめでとうを言う必要があるなんてね。でもベストをつくした。ファンのサポートに感謝しているよ」と述べている。

 いっぽう二日目を終えて3位につけるティエリー・ヌーヴィルと4位のヘイデン・パッドンとの差は16.1秒。最終日はュンダイ・モータースポーツのチームメイト同士の3位争いも期待されたが、今回、ワークスノミネートを外れているパッドンは、最初のステージから「バトルをするつもりはない」と語りポジションキープを宣言、ヌーヴィルは最終日もアンダーステアに苦しみながらも確実な走りで3位でフィニッシュすることになった。

 ヌーヴィルはパワーステージこそ4番手タイムに終わったものの、ミケルセンと同ポイントでドライバーズ選手権でも2位で並ぶことになった。

 また、パッドンもヌーヴィルから12秒差の4位でフィニッシュ、トップ4のうち3台を占める速さをみせたヒュンダイは、VWのマニュファクチャラー・チャンピオン確定を阻止することに成功している。

 5位にはマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)、DMACKのパフォーマンスに苦戦してオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)が6位、ケヴィン・アッブリング(ヒュンダイi20 WRC)がWRカーによる1年ぶりのターマックラウンドを7位でフィニッシュしている。

 初日にクラッシュしてリタイアしたラトバラは41位でリスタートした後も速さをみせて、7つのステージウィンを獲得して14位まで追い上げてフィニッシュしている。