WRC2015/03/22

サファリ、WRC復活のために変革をめざす

(c)KMSF

 サファリ・ラリーは世界選手権に復帰するために大胆な改革を行うことを決定した。

 サファリは当初、FIAアフリカ・ラリー選手権の一戦として10月に開催される予定だったが、そのステイタスを捨ててまで、かつての輝きと誇りを取り戻すために本気で動きだした。ケニア商業銀行からの支援、そして世界に誇れる耐久化を柱とした再生プランによって、サファリ・ラリーをかつてのような世界一の過酷なラリーとして復活させる計画だという。

 サファリ・ラリーは2002年に世界選手権のステイタスを失って以降、これまではFIAアフリカ・ラリー選手権の一戦としてケニア・ラウンドを開催することに全精力を注いできた。しかし、アフリカ選手権としてイベントを維持するために失われたものは多かった。往年のサファリに比べればずいぶんコンパクトになったと嘆かれたWRC開催最後の2002年でさえ、総走行距離2500km/競技区間は1000kmを越えていた。だが、昨年は総走行距離わずか720km/競技区間は224kmで行われるなど、かつては完走することさえ困難なイベントとして世界中のドライバーを震え上がらせた面影は完全に消えてしまい、近年では海外からのエントラントも激減していたという。

 ケニア自動車連盟(KMSF)とサファリ・ラリー主催者は3月17日にナイロビのパナフリック・ホテルで記者会見を行い、世界ラリー選手権を復活させたいという強い意志を表明するとともに、まずはその第一歩として、かつてのようにイースターに開催日程を移した2015年のルートを発表した。サファリ・ラリーのエグゼクティブ・ディレクター、ピネアス・キマチは、KMSF首脳陣が長年話し合った結果、世界ラリー選手権の栄光の日々を取り戻すために、サファリ・ラリーをFIAアフリカ・ラリー選手権から外すことで合意したことに満足していると語った。

「我々は、最大で3年間をかけて、このラリーを世界選手権にふさわしいものとすべく、さらに大きなラリーへと生まれ変わらせるつもりだ」とキマチは語った。彼は世界ラリー選手権として開催された1999年のサファリ・ラリーにおいてF2カテゴリーで優勝している。

「まずはイースターにラリーが行われていたサファリ黄金時代からのアイデアを用いて、ふたたび4月に開催する。短距離戦ではなくサバイバル戦をめざす。古き良き時代のように大雨が降ればさらに完璧だ」

 2015年は、よりサファリらしいステージを目指してナイロビから200km以上のロードセクションを走り、マウントケニア周辺が舞台となる。ステージは300kmとそれほど距離が長くなったわけではないが、例年、東アフリカはイースター期から長い雨季に入るため、待望の大雨が降れば、ドライバーたちが直面する多くの困難な状況にさらに過酷な課題が追加される。

「我々の目標は、かつてのような世界一タフなサファリを取り返すだけでなく、世界選手権のステイタスにふさわしいイベントにすることだ」とキバチ。

「セーフティプランの一つとして、ヘリコプターをコースオープナーとして使用する。そのほかにはサテライト衛星を介して操作される新しいタイミングシステムを含み、マシンがメインの光ビームを横切るとすぐにステージの結果が送信されるようになる。これもアフリカでは初めての試みとなる技術革新だ。我々は、3年の間にFIAが我々のところへやってくることを期待するとともに、できることはすべて行うつもりだ」

 サファリ変革の一つのアイデアとして、主催者は往年のようなロードセクションでのサービスを適用することを決めている。サービスクルーのために効率のよさをめざしたサービスパークは、大胆なルートによる再生を目指すうえでは邪魔にしかならないようだ。

 また、サファリが過去最も批判された、ラリーカーが一般道をハイスピードで走行することによって、ドライバーや観客だけでなく、住民や家畜に対して重大な危険をもたらす可能性があったことについて、主催者は2015年、ルートの50%近くを国立公園周辺の広大な農園などの私道で行うことを決定、残りの競技ステージも村から遠い場所で開催することを決めている。

 2015年のイベントのためにケニア商業銀行は4500万シリング(およそ6000万円)のスポンサードを行うとともに、さらなる長期への発展に対しての協力を表明しており、シェル・オイルが2年にわたってヘリコプターなどセーフティプランへの支援として1100万シリング(およそ1500万円)の提供を決めている。