WRC2019/10/13

シトロエンが本気モードの新エアロをテスト

(c)yourally/youtube

 シトロエン・レーシングは、土曜日からラリー・デ・エスパーニャにむけたプレイベントテストを開始しているが、現行のC3 WRCとともに新しいエアロで武装したC3 WRCが目撃されている。

 セバスチャン・オジエは先週行われたウェールズ・ラリーGBの記者会見においてスペインのためのテストが重要になると語るとともに、「パリ(のヴェルサイユのシトロエン・ファクトリー)でテストしたときに、ペースアップの進歩について細かな方向性を見つけることができた」と、このテストカーの存在を示唆したかのような発言を行っている。

 開発ドライバーのエリック・カミリーからテストを引き継いだオジエは、土曜日早朝から始まったテストでは現行のC3 WRCで繰り返し走行を行い、このテストカーでは日没が近い17時30分ころから短いテストコースで8セッションほどの走行を行っている。いまのところこのテストカーがそのままスペインで投入されることについては疑問視されている。

 シトロエンは今年のラリー・モンテカルロにむけたプレテストから新しいエアロを装着したC3を比較のために走らせてきたが、残念ながらシーズン中にそれらが投入されることはなく、シーズンは終盤戦になってしまった。今回、スペインで目撃されたC3 WRCテストカーは、より大きなダウンフォースを狙ってフロントバンパーもリヤウィングもこれまでのテストカーや本番マシンとはまったく異なるものを装着している。

 C3 WRCの現行マシンはフロントバンパー左右に2枚ずつの小さなカナードを備えているが、テストカーではなんと複雑な構造の3枚ずつのカナードを備えている。もっとも大きな最上段のカナードは仰角も大きく、サイドがめくれ上がるようなバーチカルフィンをもっており、中段のカナードもさらに大きなバーチカルフィンを備えてエアを上部に導いている。最下段のカナードはより小さなものだが同じようにバーチカルフィンを備えているようだ。

 テストカーのフロントフェンダーは丸みをもった形状から四角く張り出した形状へと変更されており、フェンダー後端はヒュンダイの前モデルのi20WRCのように大きく跳ね上がった形状となっている。また、フェンダー上部におかれたトヨタ・ヤリス風の小さなウイングは昨年末からテストでは何度か目撃されてきたものだが、ヤリスより大型で仰角も大きく、水滴型の断面をもったものとなっている。

 テストカーのリヤウイングは現行マシンと同様にスワンネック式のステーを備えているが、形状はヤリス風に改められている。メインウイングのほかにも、これまたヤリス風ともいえるサブウィングを左右に備えているが、大きな面積を持ち、ウイング下面に生じる負圧によってリヤフェンダー後部のアウトレットからホイールハウス内の圧力を抜く効果を狙っているようにも見える。