ERC2014/07/20

タナク、母国エストニア初開催のERC戦で圧勝

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第7戦ラリー・エストニアは7月19日に最終日を迎え、MMモータースポーツのフォード・フィエスタR5を駆ったオット・タナクが後続を47.2秒引き離して優勝を飾っている。彼にとってこれが初めてのERC勝利となる。

 タナクは44秒をリードして初日を終えたものの、最終ステージ後にフューエル・プレッシャーに問題があることが発覚。サービスがないスケジュールのため不安な一夜を過ごしているが、最終日の朝、燃料ポンプを交換した彼は、突然の豪雨に見舞われたオープニングステージでもベストタイムを叩きだして発進する。

 だが、完璧なスタートを切ったようにみえたタナクは、次のSS11を走行中にパワーが上がらない症状を抱えて4秒あまりをロス。ターボのブースト圧を制限するために装着されているポップオフバルブに問題があったが、幸い直後におかれたサービスで交換して事なきを得ている。

 タナクは再び完調な状態にもどったマシンでSS12〜13と連続してトップタイムを重ね、後続を50秒近く引き離したところで勝利を確信、残り2つのステージはペースを落としてクルーズ、記念すべき母国でのERC初開催イベントで独走勝利を飾っている。

「すばらしい勝利になったね。僕らはWRCで使うDMACKタイヤを使用したが、ERCタイヤほど速く走れなかったことに驚いたが、それでもWRCのためのいい準備になった。とてもポジティブなフィーリングだよ」とタナクは語っている。

 タナクの後方では、最終日も母国エストニア選手権のライバル、ティム・コルゲ(フォード・フィエスタR5)とアレクセイ・ルクヤヌク(三菱ランサーエボリューションX)による激しい2位争いとなったが、最後の2つのステージで連続してトップタイムを奪ったルクヤヌクが逆転で総合2位に入る快挙をなし遂げるとともに、ERCプロダクションカーカップ優勝を果たしている。

 エストニア選手権リーダーのコルゲは8.3秒差の3位、地元のライナー・アウス(三菱ランサーエボリューションIX)が4位でフィニッシュ、シュコダ・ワークスのエサペッカ・ラッピなどERCのトップドライバーたちを最後まで押さえきることに成功している。

 いっぽう、「このような高速イベントではギヤ比も合わず、自然吸気エンジンではターボに歯が立たない」と語っていたラッピも着実に5位でフィニッシュ、チームメイトのセップ・ヴィーガンド(シュコダ・ファビアS2000)がSS12の切り株でタイヤをパンクさせて順位をひとつ後退して7位でフィニッシュしたことから、選手権では36ポイントのリードとなり、エストニアを欠場しているプジョー・ラリーアカデミーのクレイグ・ブリーンに対しては45ポイントへとその差を広げている。

 組み上がったばかりの新車のプジョー208 T16で地元戦に出場したカール・クルーダはカムシャフトのセンサートラブルなどマイナートラブルによりフラストレーションのたまる週末となり、首位から2分56秒遅れの6位となっている。

 プジョーバルティックの支援によりサンテロック・レーシングのプジョー208 T16での初ラリーに挑んだシイム・プランギは、クルーダと7位を争っていたものの、SS11でクラッチトラブルに見舞われて10位まで後退。さらにゴールを目前にしたSS15でクラッシュ、リタイアとなってしまった。

 初日の最終ステージ前でのタイヤ交換による遅れが響いたセバスチャン・シャルドネ(シトロエンDS3 R5)は9位、クリスチャン・ショーベリ(フォード・フィエスタR5)も10位でフィニッシュしている。

 ERC 2WD選手権はサンデル・パルン(フォード・フィエスタR2)がトップ、カール・クルーダの弟のグスタフ・クルーダ(フォード・フィエスタR2)も7位となり、ERCデビュー戦で完走を果たしている。