WRC2018/02/18

ヌーヴィル、スウェーデンのDAY2も首位をキープ

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 2018年世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンは17日にDAY2を終え、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が首位をキープ、初日にトップ3を独占していたヒュンダイの2台を切り崩す速さをみせたクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)を4つのベストタイムで突き放し、22.7秒差をつけて最終日に臨むことになった。

 ラリー・スウェーデンのDAY2は、オープニングSSのSS9トーントルプ(19.88km)でラリーリーダーのヌーヴィルがパドルシフトのトラブルを抱える波乱の幕開けとなった。WRCライブのオンボードカメラが、ステージを走行している彼がステアリングのパドルシフトではなく、マニュアルシフトで操作、フライングフィニッシュを通過したあと、イライラした様子でステアリングを叩いているのを映し出している。ヌーヴィルは幸いにも大きく遅れることもなく5番手タイムでステージをフィニッシュ、ミケルセンに対して5.2秒をリードをしているものの、問題が解決できなければこのあとに連続する2つのロングステージでのタイムロスは避けられない。

 ヌーヴィルはロードセクションでマシンを止めてチームの指示を受けながら修理を試みるが、パドルシフトの問題は些細な電気系に原因していたことが判明、幸いにも問題は解決することになった。だが、安堵したのもつかの間、ヌーヴィルに後方から新しいライバルが襲いかかる。

 オープニングSSを走り終えたあと、「すごいいい感じだ、張り付いている感じだ」と、思わず喜びの声を上げたブリーンは、3位につけていたヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)を抜いただけでは物足りないように、SS10ハグフォース(23.40km)でも、スノーバンクにヒットしてスピンを喫して18秒あまりのタイムロスを喫したアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)を捕らえ、アッという間にヒュンダイの2台をパスして2位に浮上してきた。さらにヌーヴィルもミケルセンが崩したスノーバンクでスピンしたため、ブリーンは首位まで4.2秒差に迫ることになった。

 だが、ヌービルもSS11ヴァルゴーセン(14.21km)でペースをアップ、この日初のベストタイムを奪い、ブリーンとの差を5.9秒として朝のループを終えることになった。彼はパドル問題がうまく解決できたことを喜ぶとともに、午後のループでも首位をキープできる自信をみせている。

「パドルシフトの問題は些細な電気系の問題だった。360度のスピンもやってしまったが、それ以外はよかったよ。でも、ブリーンがプッシュを試みている。彼にとっては初めてラリーで勝利を狙えにいくチャンスだからね。でも、僕たちは十分コントロールできると思う」

 いっぽう、2位に浮上したブリーンは、C3 WRCのドライブに完全な自信をもっていると語り、午後のループでも引き続きプッシュすると宣言した。「いい気分で走れるときは、自信が生まれ、タイムがでる。ドライブしたいようにドライブできるんだ。いまはあまり大きなプレッシャーは感じていないが、そこにはある。ラリーリーダーの近くにいるからね」

 彼はこの言葉どおりにSS12トーントルプでこの日初のベストタイム、ヌーヴィルの4.6秒後方まで迫ってみせた。だが、ヌーヴィルも負けじとSS13ハグフォースではブリーンとの差を14秒へと広げる快心のベストタイムを奪ってみせる。長い午後のループのために2本のスペアタイヤを選んだヌーヴィルに対して、軽いマシンで戦うことを選んだブリーンは1本のスペアのみ。ブリーンはステージ後に「ここはグラベルが多かった。タイヤをマネージメントするためにあまり負荷をかけないように気をつけなければならなった」と語っており、戦略の違いがタイムに如実に表れることことになった。

 だが、スピードに手応えをつかんだヌーヴィルの勢いはさらに加速する。彼は両側のリヤフェンダーをスノーバンクで失いながらもコース幅をぎりぎりまで使ってSS13ヴァルゴーセンで圧巻のベストタイム、ブリーンとの差は18.8秒へと広げてみせる。

 ヌーヴィルは昨年、圧倒的な大差で迎えながらもクラッシュでリタイアとなったSS15カールスタッド・スーパーSSでは慎重な走りでフィニッシュ、サービスパークにいる熱狂的な観客のために設定されたSS16トースビー・スプリント(3.43km)でもこの日4つめのベストタイムでその差をわずかに広げ、ブリーンに22.7秒差をつけてDAY2をフィニッシュしている。

 SS10のスピンで4位まで後退したミケルセンだが、SS11でハンドリングに自信がもてないパッドンを抜いて3位にポジションアップすることに成功するも、ペースの落ちないブリーンとの差をなかなか縮められずに12秒差の3位でこの日を終えている。朝のループでペースが上がらなかったパッドンも午後のループではペースを上げて、ミケルセンの7.6秒後方に続いていたが、最後のトースビー・スプリントでスノーバンクでスタックしかかり、その差は16.6秒へと広がってしまった。

 ブリーンとパッドンとの3位争いを期待されていたマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)だがなかなか満足できるセッティングがみつからずに5位となっているが、4位のパッドンとの差は8.2秒とそう大きいものではない。

 6位につけたのはトヨタGAZOOレーシングのエサペッリカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)。金曜日にジャンクションでミスして表彰台圏内から遠ざかった彼だが、安定したペースを刻むことに集中、チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)がSS10の2番手タイムで25秒後方に迫ったが、デファレンシャルに問題を抱えてペースが上がらず。ラッピはチームのエースに57秒差をつけてこの日を終えることになった。

 相次いでトヨタ勢に抜かれたテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)は首をひねりながらステージをこなすことになり、8位でフィニッシュしている。

 また、オープニングSSでベストタイムを奪ったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)は、SS10でも連続してベストタイムを奪い、さらにSS11でも2番手タイムを叩き出してスニネンを抜いている。だが、彼はSS13ハグフォースでスノーバンクにヒットしたあとエンジントラブルでペースダウンしたクリス・ミークをパスしようとして5.1km地点の狭いセクションでオフ、2分あまりを失ってしまい、7位から9位に後退した。

 ミークも6分遅れでどうにかこのステージをフィニッシュしたが、ロードセクションでリタイアとなっている。チームはターボトラブルと発表したが、このあとサービスにマシンが戻されて、明日のリスタートが可能かどうか判断されるとの情報だ。

 また、2番手の走行ポジションで土曜日をスタートしたセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)はこの日も路面の掃除に耐える一日となり、WRC2のトップと同じようなタイムに甘んじることになり、ぎりぎりポイント圏内の10位でのゴールとなっている。

 最終日はリケナス(21.19km)のステージから始まるわずか3SS/51.94kmのみ。はたしてヌーヴィルが昨年の雪辱を果たしてスウェーデン初勝利を飾ることができるか。それとも、ブリーンが逆転でキャリア初優勝を奪うことになるのか。注目の最終日は現地時間9時51分(日本時間15時51分)にスタートする。