ERC2023/03/13

パッドンが逆転でERCファフェ優勝

(c)RedBull Content Pool

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 2023年ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)開幕戦のラリー・セーハス・デ・ファフェ・フェルゲイラスは、最終ステージでラリーリーダーのミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビアRally2エボ)がパンクに見舞われるというドラマが発生、最終日にじわじわと追い上げていたBRCレーシングチームのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)が逆転でERC初勝利を飾ることになった。

 雨で不安定なコンディションとなった土曜日、フィンランド・チャンピオンのヘイッキラは終盤にバッテリーに問題を抱えてひやりとする場面もあったが、MRFディーラーチームのマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)に4.2秒差をつけてラリーリーダーとして最終日を迎えていた。

 日曜日のレグ2は、一転して晴れた朝を迎え、最初の数ステージで霧が発生して日陰にはウェットなセクションもあったものの、陽が差すとともに路面は急速に乾き始める。ヘイッキラは前日の勢いのまま最終日をスタート、じわじわとオストベルグとの差を広げ、3つのステージを走り終えてリードを12.6秒まで拡大する。

 だが、ヘイッキラはこのSS12でスライドしてバンクにヒット、ステアリングに問題を抱え、続くSS13ラメイリーナで13秒あまりをロスしてしまう。彼はどうにか首位をキープしたものの、2.9秒差の2位にはオストベルグが迫り、さらに後方からはオープニングSSでベストタイムを奪ってプッシュを開始した3位につけるパッドンがオストベルグまで1.7秒差まで迫ってきた。

 最終日のややドライになり始めたコンディションで3人のなかでパッドンはもっともペースをみせており、最終ループでもそのペースは変わらない。パッドンはSS14でオストベルグを抜いて2位へと浮上、首位のヘイッキラもプレッシャーに耐えながらもポジションを守ってきたが、最終ステージを前に二人の差はわずか2.8秒に縮まることになる。

 そして迎えた最終ステージのSS17ラメイリーナでヘイッキラは10km地点でパンク、タイヤ交換を強いられてしまい、優勝は幻と消え、8位まで後退することになった。ヘイッキラは悔しさをにじませながらも、自身がERC初勝利まであとわずかに迫ることができたことを誇りに思っていると語っている。「何が起こったのかわからない。突然パンクしたんだ。もちろん、わだちにも石が多いのでパンクするのは簡単なことだ。泣いたってどうにもならないと思う。正直言えばここまで戦うことができたので、ラリーにはハッピーだよ。いいマシンを用意してくれたチームにも感謝している」

 素晴らしい追い上げをみせたパッドンは、ヘイッキラのトラブルを惜しみながらも、ERC勝利を飾ってシーズンをスタートできたことを喜んだ。「僕らはなんとかトライし続け、この2.8秒を克服したかった。ヘイッキラには残念なことになったが、僕らにとってはいい結果になった」

 連日優勝争いに加わっていながらも2位に甘んじることになったオストベルグ、最終ステージを終えて「ベストを尽くしたが、もうこれ以上できることはなかった」と語った。

 ゲオルク・リンナマエ(ヒョンデi20 N Rally2)、週末を通して安定したドライビングを披露し、昨年のファフェに続いて3位表彰台でフィニッシュした。

 4位には、マーティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)と初日から接戦を繰り広げてきたミコワイ・マルツィック(シュコダ・ファビアRS Rally2)が続いている。セスクスSS11でパンクのために惜しくも12位に終わったが、最終日にはベストタイムを奪って追い上げるなど印象的なペースを見せている。

 5位にはフランス・チャンピオンのヨアン・ボナート、6位にはERC連覇を狙うチームMRFタイヤのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が続いている。

 チーム・ヒョンデ・ポルトガルから出場するクレイグ・ブリーン(ヒョンデi20 N Rally2)は土曜日に一時ラリーをリードしたものの、パンクによって優勝のチャンスを失ってしまったが、20位からスタートした最終日には4つのステージを制し、6位でフィニッシュした。