WRC2019/11/12

ヒュンダイ初戴冠も、「複雑な感情」

(c)Hyundai

 ヒュンダイ・モータースポーツは、2019年の世界ラリー選手権最終戦ラリー・オーストラリアの中止決定によって、初のマニュファクチャラー・タイトルを獲得することになった。チームは、待ち望んできたタイトルを喜びながらも、森林火災に見舞われたコフスハーバー地域の被災状況に心を痛めており複雑な感情であるとリリースのなかで述べている。

 ヒュンダイは2014年に世界ラリー選手権に復帰以降、これまでマニュファクチャラー選手権のタイトルには縁がなく、参戦初年度は選手権4位、2015年には3位と着実に成長を遂げてきたが、2016年以降選手権では3年連続で2位にとどまってきた。

 しかし、2019年は開幕戦モンテカルロでマニュファクチャラー選手権をリード、メキシコの敗北でトヨタに選手権のリードを奪われたものの、コルシカでのティエリー・ヌーヴィルの勝利によってふたたび選手権をリードを取り返し、ドイツではトヨタに1-2-3を許すなど危機的な状況もあったが、前戦スペインでチームにとって今季4度目の勝利をダブルポディウムとともに達成、トヨタに18ポイント差をつけて最終戦に臨む予定だった。

 周辺地域の火災の影響によってラリー・オーストラリアは火曜日に開催中止を決定したが、これによって、ヒュンダイの2019年のFIA世界ラリー選手権のマニュファクチャラーズ選手権王座が決定することになったが、チームは初のワールドタイトルを喜ぶ気持ちと、火災の影響を受けたコフスハーバー地域とオーストラリアの他の地域の住人に対しての心配する気持ちとで複雑な感情だとするメッセージを公表している。

 ヒュンダイ・モータースポーツGmbHの社長であるスコット・ノーは次のように語った。

「何よりもまず、我々の思いはオーストラリアのニューサウスウェールズ州やその他の地域の壊滅的な山火事の影響を受けたすべての人々と共にある。我々は強力なライバルとの競争の激しいシーズンを終えてFIA世界ラリー選手権のマニュファクチャラーズタイトルを獲得したことを非常に誇りに思っている。2012年にヒュンダイ・モータースポーツが設立されて以来、我々はアルゼナウにある当社のファクトリーで献身的なチームを築き上げ、目標を達成するために精力的に取り組んできた。我々にとってWRCの活動を通じてヒュンダイのグローバルブランド戦略に貢献できることは特権であり、これは特別な機会だ。これは包括的な成果であり、世界中のヒュンダイファミリーと共有するものだ。また、我々は今後さらに多くのタイトルを獲得し、これがその最初の一つとなることを願っている」

 ヒュンダイ・モータースポーツのチーム・ディレクターを務めるアンドレア・アダモは次のように語った。

「ラリー・オーストラリアの中止は、状況を考慮した正しい決定であり、我々の思いはニューサウスウェールズ州で災害の影響を受けた人々と共にある。スポーツの観点から見ると、FIA世界ラリー選手権で初タイトルを獲得できたことは素晴らしいことだ。これは、ヒュンダイ・モータースポーツの皆の長年の努力の結果だ。今シーズンは信じられないほど競争が激しく、我々は最後まで戦うことを望んでいたが、この包括的な勝利を勝ち取るためにチームメンバーとして個々人が達成してきたことを皆が誇りに思うことができると思う。個人的にもヒュンダイ・モータースポーツの全員とこれまでラリー・モンテカルロから全力を尽くしてくれたすべてのクルーに感謝したいと思う」