ミシェル・ムートンは、今季をもってFIAの要職であるWRCセーフティデレゲート(安全委員会代表)を辞任し、WRCに別れを告げることを公式に発表した。
ムートンは、世界ラリー選手権史上唯一の女性ドライバーであり、1986年シーズンを最後にWRCから引退するまでにそのキャリアでWRC通算4勝を挙げ、1982年のドライバーズ選手権では堂々の2位に入った。
ムートンはドライバーを引退したあともラリーから離れることはなかった。FIAウーマン・モータースポーツ委員会長を務めたあと、2011年にジャン・トッドFIA会長(当時)から指名されてWRCマネージャーに就任、マニュファクチャラー、プロモーターそしてイベント主催者たちと緊密な協力を行ってきた。さらにムートンは2016年以降はWRCセーフティデレゲートに就任、新たなにカレンダーに加わる新規のイベントの安全確認のほか、カレンダーのすべてのイベントがスタートする前にすべてのスペシャルステージを視察してきた。
ムートンはすでに昨年の時点で近い将来にWRCから離れることを明かしていたが、1982年にキャリア通算2勝目を飾った思い出深いポルトガルの地で行われた世界ラリー選手権で、今シーズン限りでの引退を公式に発表した。
ムートンはラリー・デ・ポルトガルのパワーステージで、熱狂的なポルトガルのファンに別れを告げた。
「みんなが手を振ってくれて、私たちも立ち止まって手を振ってお礼を言ったんです。このような思い出とサポートがあるなんて信じられませんでした。感極まる瞬間でした」とムートンは語った。
しかし、WRCのレジェンドは完全に引退するつもりはない。
「私は自分の仕事をやりきりました。それでもショーは続けなければなりません。私もまた何か他のことができればいいのですが、WRCからは引退することにしました。1973年にモータースポーツのキャリアをスタートさせてから、今年で50年目になります。そして今、私はもうすぐ73歳です」とムートンは語った。