WRC2017/03/13

ミーク、メキシコでドラマチックな今季初優勝

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 2017年世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコは、シトロエン・レーシングのクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)が最終ステージでコースオフしながらも逃げ切ることに成功、今季初優勝を飾っている。2位にはMスポーツ・ワールドラリーチームのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が13.8秒差で続き、彼は選手権リーダーの座を奪還している。

 最終日は32.96kmのラ・カレラと21.94kmのデラマデロのわずか2SS/54.90kmという短い一日となる。土曜日までの3日間を終えて、すでにミークとオジエの差は30.9秒離れているため、なにかドラマが起きなければこの差は大きく縮まることはないのは明らかだった。

 オープニングSSがスタート直後、このステージのゴール地点のエリアだけに激しい雨が降り、波乱の展開を予感させたものの、ミークがトップタイムでフィニッシュ、オジエも次のパワーステージにむけてタイヤをセーブ、二人の差は37.2秒へと広がることになる。

 だが、本当のドラマは最終ステージに待っていた。ミークが高速ジャンプのあとのバンプで跳ねてしまいコースオフ、あわや横転するところだったが、幸いにも広い駐車場だったためコースに復帰することに成功する。しかし、このアクシデントですでに彼はそれまでの3日間で築いたマージンを吐き出してしまった。ミークはとにかく全力でフィニッシュをめざすものの、C3はパンクしており、連続するコーナーでは姿勢を乱しながらもどうにか13.8秒差で逃げ切り、今季優勝を飾ることになった。

 ゴールしたミークはクルマから下りたものの、しばらくは放心したように無言だったが、やがて青空を見上げて「ラッキーだった、僕はラッキーボーイだよ。信じられない」とつぶやいている。

 オジエは前日、オールオアナッシングで攻めることはしないと語っていたが、このパワーステージのボーナスだけは狙ったようだ。パワーステージを制したティエリー・ヌーヴィルにわずか0.3秒及ばなかったものの2番手のタイムでフィニッシュ、選手権のリーダーを奪い返すことに成功した。

 また、開幕から2戦続けて不振のラリーが続いていたヌーヴィルが3位のポディウムを獲得。彼と同様に初日にオーバーヒートに悩まされたオット・タナク(フォード・フィエスタWRC)が4位でフィニッシュすることになった。
 
 初日のミスファイアと土曜日のパンクによって表彰台のチャンスを失ったヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)が5位、トヨタにとっての初めてのグラベルラウンドでヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が6位でフィニッシュしている。