WRC2016/07/25

ヤリスWRC、10回のテストで5000キロを走破

(c)TOYOTA

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 トヨタは、2017年デビューにむけて開発が行われるヤリスWRCがこれまでのテストで5000kmを走破、順調に開発が進んでいることを公式サイトを通じて発表した。

 ヤリスWRCは今年5月にフィンランドで初シェイクダウンを行ったあと、これまでにスペインやフランスにテストの舞台を移してテストを重ねてきており、10回のテストで5000kmを走破してきたという。

 YOYOTA GAZOO Racingチーム代表のトミ・マキネンは、2017年シーズンに万全の体制で臨むために懸命な作業を行っていると現在の状況を説明した。

「スケジュール通りに開発を進めるために、我々は懸命な作業を続けてきた。5月以来すでに多くのテストを予定通りにこなしている。2台目のテスト車両が加わったことでテスト計画はペースアップし、内容も多様化した。あらゆる環境と路面でテストを行い、2017年シーズンに万全の体制で臨みたいと考えている」とマキネンは語った。

 また、チーフエンジニアのトム・フォウラーは、開発プログラムを最も効率よく行うために2台のテスト車両を早期から導入、車両のパフォーマンスレベルはとても高いと説明している。

「2台体制を敷いた理由は、開発を2つのパートに分けたかったからである。1号車のチームはフィンランド国内でテストに取り組み、エンジンとギヤボックスに焦点を当て、車両の信頼性と耐久性向上に注力している。2号車のチームはサスペンションに焦点を当て、スペインやポルトガルといったフィンランド以外の欧州をベースに活動している。ターマックでのテストはまだ始めていないが、車両のパフォーマンスレベルはとても高いと言える。これまでのところ大きな問題もなく進められており、チームの励みになっている」

 これまでの開発プログラムではマキネン自身もテストドライバーを務め、ユホ・ハンニネン、ヤルコ・ニカラも交代でステアリングを握っている。

「気持ちを抑えきれず、自分が一番に車両を走らせた」とマキネンは認める。

「素晴らしいフィーリングで楽しく運転ができた。メインテストドライバーであるユホ・ハンニネン、そしてヤルコ・ニカラが加わってくれたこともとても幸運だ」と付け加えた。

 ハンニネンは最初に運転したときからヤリスWRCにいい印象をもったと説明している。

「最初に運転したときはとても感銘を受けた」ハンニネン。

「ハンドリングと車両のバランスは完璧だったし、設計も非常に優れている。クルマの信頼性が高く大きな問題 もなかったので、フィンランド国外で初めて行ったテストでは時間を無駄にすることなく、予定通りの走行距離をカバーできた。様々な状況・条件でテストを行ってきたが、ヤリスWRCのパフォーマンスはとても安定している」と加えている。

 マキネンによれば、現在チームは日本を含む7か国からのメンバーで構成されており、全員が「もっといいクルマづくり」の精神で、同じ目標に向かって邁進していると説明している。

「この家族のような雰囲気のチームをとても気に入っている。人がどんどん増えているにもかかわらず、チームの雰囲気がほとんど変わっていないことに驚いている」とマキネン。

「言語による壁もなく、チームには一体感があり、一人ひとりが妥協することなくベストを尽くしている。これらは成功するチームには必須条件の一つだと考えており、皆が同じ方向を向いていることをうれしく思っている」