ERC2016/07/17

ルクヤヌクが圧巻の走りでエストニア首位キープ

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権第6戦ラリー・エストニアはレグ1を終えて、ロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がリード、20.1秒差でラルフス・シルマチス(シュコダ・ファビアR5)が続く展開となっている。

 ラリーは金曜日夜に行われた1.33kmのタルトゥ・ステージにつづいて、16日の土曜日から欧州最速との呼び声も高いオテパー周辺の超高速ステージに舞台を移して本格的な戦いの幕を開けることになった。

 前夜に行われたストリートステージを制してラリーをリードしたルクヤヌクは、この日も素晴らしい速さをみせつけることになった。エストニア・チャンピオンに輝いたこともあるルクヤヌクは、今年は選手権に参戦できないことを惜しむように流れるような高速ステージで水を得た魚のようにベストタイムを重ね、SS3を終えて後続に対して9秒のリードを築くことになった。

 いっぽう、初日を終えて2位につけていたシルマチスはこの日のオープニングSSでペースノートの聞き取りミスから4位と出遅れたものの、R5マシンで初参戦のエストニアでじょじょにペースを上げて、ルクヤヌクに迫ることになった。

 彼は平均速度130km/hを超えたSS4ではリミッターにあたってペースが上がらないルクヤヌクを抑えて初のベストタイムを奪取して2位に浮上、さらにSS5でもジャンクションでミスしたルクヤヌクを抑えて連続ベストタイムを奪い、首位まで6.8秒差まで迫ることになった。

 ルクヤヌクはSS6でディッチにマシンを落としてリヤのアンチロールバーを傷めながらフィニッシュ、シルマチスも首位との差を縮める決定的なチャンスにも見えたが、彼もまたジャンクションでミス、リヤを壊してしまいここで二人の差は17.6秒と大きく広がってしまった。

 シルマチスはわずか1.6kmの短い最終ステージでもエンジンをストールさせるミスを犯してしまい、燃料トラブルの問題を抱えたルクヤヌクはその差を20秒へとさらに広げてして初日を終えることになった。

 エゴン・カウール(三菱ランサーエボリューションIX)はERC2をリードし、総合3位につけていたものの、SS8でエンジントラブルでマシンを止めることになった。これでカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)が3位に浮上することになったが、ミッドサービスにおけるギヤボックス交換の遅れによるペナルティやブレーキのオーバーヒート、さらに終盤のパワーステアリング・トラブルによって首位からは1分30秒もの遅れとなっている。

 トミ・マキネン・レーシングのフォード・フィエスタR5を駆って武者修行をしている新井大輝と勝田貴元にとっては試練のERCデビューとなった。石畳の滑りやすい路面のSS1では38位と出遅れた勝田は、SS2では13位まで挽回したものの、SS3の右コーナーでワイドにふくらんでしまい、ディッチにリヤタイヤを落して横転、リタイアとなってしまった。

 いっぽう、9位で土曜日をスタートした新井は、SS3では「これまで経験したなかでもっとも高速ステージだ」と語りながらも、じょじょに高速ステージでペースをアップ、SS4ではハーフスピンしながらも6位まで順位を上げている。しかし、タイヤのオーバーヒートに悩んでいた彼はSS6の右コーナーで勝田と同様にディッチにタイヤを落として横転、彼もまたマシンをストップさせることになった。

 金曜夜にタルトゥ市街地で行われたストリートステージで2.2秒差の3位で発進したチェコのヤロミール・タラブス(シュコダ・ファビアR5)は、オテパーのサービスに戻るロードセクションでマシンをストップさせてしまいリタイアとなった。彼は予選で大きな岩にフロントをヒット、冷却系に問題を抱えたまま走ったことでエンジンへの深刻なダメージにつながったと見られている。

 ERC2は優勝候補の一人だった地元のシーム・プランギ(三菱ランサーエボリューションX)がSS3のクラッシュで消えたあと、カウールがリードする展開となっていたが、前述のようにSS8でエンジントラブルでストップ、ライナー・アウス(三菱ランサーエボリューションIX)がリードしている。

 またERCジュニアは、地元のミコ-オヴェ・ニーンマエ(プジョー208 R2)が初日をリード、10.6秒差でラトビアのニコライ・グリアジン(プジョー208 R2)が追う展開となっており、選手権リーダーのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)が32.8秒差の3位につけている。