WRC2018/07/27

勝田と新井がWRC2フィンランドに挑む

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 今週末のラリー・フィンランドのFIA WRC2選手権には18台がエントリーしており、トヨタGAZOOレーシング・チャレンジプログラムの勝田貴元と新井大輝が表彰台バトルに挑むほか、シュコダ・モータースポーツのジュニア・ドライバー、地元のヒーローであるカッレ・ロヴァンペラとオーレ・クリスチャン・ヴェイビーが大きな注目を浴びることになりそうだ。

 選手権をリードするポントゥス・ティデマンドと2位につけるヤン・コペツキが二人とも不在となるイベントは今シーズン初めてとなるが、ライバルたちにとって彼らとの差を詰める絶好の機会でもある。

 今回参戦するなかでただ一人今季の優勝経験をもつ勝田は、7月13〜14日にフィンランドで行われたアウトグリム・ラリーで4位でフィニッシュ、また新井も5位で続いており、高速戦にむけて十分な準備を行ってきた。

(アウトグリム・ラリーでは)フィンランドの高速グラベルは1年ぶりでしたが、だいぶ感覚が戻って本番を迎えることができます。今年のステージは去年よりもナローのパートが増えていてトリッキーです。事前テストも順調に終えましたし、週末が楽しみです!」と勝田は語っている。
 
 また、サルディニアからベテランコドライバーのヤルモ・レウティネンとの新コンビをスタートした新井はSS3ではベストタイムを奪って首位に立つという衝撃の速さをみせたあと、惜しくもエンジンの潤滑系に問題を抱えてリタイアとなっているが、この数年間フィンランドで彼らのスキルを磨き続けてきたフィンランドでこれまでの修業の集大成ともいえるリザルトが期待されている。

 二人にとって最大のライバルとなるのは、ラリーのホストタウンであるユヴァスキュラ出身、17歳のロヴァンペラだ。彼が母国フィンランドのWRCを走るのはこれが初のことになり、リードを奪いながらもクラッシュに至ってしまったラリー・アルゼンチンの埋め合わせを期待したいところだ。

「僕が初めてクルマをドライブしたのがホームタウン近くの私道の上でだったんだ」と彼は思い起こす。「だけど最初に競技に参戦する経験を積んだのは、フィンランドと良く似ているグラベル道路のあるラトビアだった。今年ワークスとしてエントリーしているファビアR5で初めてラリー・フィンランドで走るというのは、僕にとって本当に特別なことなんだ」

「アルゼンチンの厳しい結果には多くを学んだし、ペースノートもすべてうまくいって、ラリーをフィニッシュできるよう祈っている。もちろんいつもよりプレッシャーも大きいが、モチベーションもずっと大きいよ」

 ノルウェー出身のヴェイビーは現在ドライバーズ選手権3位につけている。フィンランドで勝利すれば、コペツキとの差を5ポイントまで縮められるが、この週末も激しい戦いが待ち受けており、イギリスのガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタR5)も彼の好敵手となりそうだ。

 グリーンスミスはヴェイビーに僅か5ポイント差に迫っており、昨年のフィンランドで記録した8位を上回る結果を目指す。

 シトロエン・トタルもフィンランドには万全の準備でエントリーしている。ステファン・ルフェーブルは2015年以来の参戦となり、引き続きグラベルでのC3 R5の開発を継続していく。2台目のC3で彼とともに参戦するのはシモーネ・テンペスティーニだ。

 昨年、WRC2勝者に輝いたヤリ・フットゥネン(ヒュンダイi20 R5)は2018年4回目の出走となり、2015年のフューチャー・ラリースター・オブ・フィンランドに選ばれた彼とともに、2017年のフューチャー・ラリースターに選ばれたエミル・リンドホルム(シュコダ・ファビアR5)も注目の存在になりそうだ。また、フィンランド選手権をリードするエーリック・ピエタリネン(シュコダ・ファビアR5)もその速さが期待されており、多くの才能がフィンランドからは出場している。

 また、トヨタGAZOOレーシング・ラリーチャレンジプログラムからは地元のヤルッコ・ニカラとともに足立さやかがフォード・フィエスタR5でエントリーしている。

 そのほかにもファビオ・アンドルフィ、そして2011以来のフィンランド参戦となるベニート・グエラとともに、シュコダ・ファビアR5で参戦するほか、ニコラ・シアマンとピエル-ルイ・ルベーがヒュンダイi20 R5で参戦する。