WRC2019/10/29

勝田スペイン完走、すべてが将来に意味を持つ学び

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの勝田貴元が、10月24-27日にかけてスペイン北東部カタルニア地方のサロウを中心に開催された、世界ラリー選手権第13戦ラリー・デ・エスパーニャに、コドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦した。勝田にとっては第10戦ラリー・ドイッチュラント以来2回目のWRカーによるトップカテゴリーチャレンジとなり、メカニカルトラブルに見舞われるも、今回も全てのステージを走破。総合39位で完走を果たした。

 フルターマックイベントのドイツで、勝田は初めてヤリスWRCでトップカテゴリーに挑戦し総合10位でフィニッシュ、初ポイントを獲得している。そして今回、再びヤリスWRCでの出場となったスペインは、グラベルとターマックをもつミックスサーフェスで行われるためこの路面変化への経験を積むことが勝田のテーマだった。

 勝田は2017年と2018年にはR5カーでこのラリーに出場し、ステージに対する経験はあったが、ラリー前に降った大量の雨により、グラベルステージはコンディションが悪化。特に金曜日の午前中はグリップレベルがただ低いだけでなく、安定せずどれくらい滑るのか予想が非常に難しい状態となった。そのため勝田とバリットはまずステージを習熟しクルマのフィーリングを掴むことに集中。午後はスピードを上げて走り、トップドライバーに迫るタイムを記し総合9位でデイ1を走破した。

 そしてターマック仕様に変更されたクルマで臨んだ土曜日は、朝の最初のステージで油圧系の問題によりギヤボックスにトラブルが発生。大きく遅れをとることになった。それでも何とか午前中の3ステージを走り、その後サービスで問題を解決、それ以降は完調となったクルマでステージを走行し、最後まで走り走りきるとともにスピードと経験値をさらに高めている。

 勝田は、いいタイムを出したステージも少しミスをしたステージもあったが、その全てが将来に向けて意味を持つ学びになったとスペインをふり返った。

「今回のラリーは、自分にとって本当に貴重な経験になりました。金曜日朝のステージはとても難しい路面コンディションで、想像していた以上に滑りやすい状態でした。そのためアプローチを変更し、まずはステージを走り抜くことに集中しました。そして午後はドライビングを改善し、クルマの性能をもっと引き出すようにしたところ良いタイムが出たので、満足しました」

「土曜日は、前日と全く違うターマックでの戦いとなりましたが、朝最初のステージでクルマにトラブルが起きてしまいました。しかし幸いにもステージを走り切ることができ、チームはサービスでクルマを完璧に直してくれました」

「午後はステージを初めてフルスピードで走ったので決して簡単ではありませんでしたが、ドイツの時よりも速いペースで走ることができました。そして、日曜日はとても良いステージで、より大きな自信を持って走れました。最後までラリーを走り切り、多くの経験を蓄積できたので良かったと思います。良いタイムを出せたステージもあれば、少しミスをしたステージもあり、その全てが将来に向けて意味を持つ学びになりました」

 育成プログラムのインストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは、今後経験を積み重ねれば、勝田は世界最高のドライバーたちと対等に戦えるようになるはずだと語っている。

「ヤリスWRCで出場した今回のスペインで、タカのドライビングはさらに進化した。初めて出たドイツの時と比べると、全体的に1kmあたり0.5秒以上速くなり、特に金曜日のグラベルステージは本当に良い走りで、各ステージのセクタータイムを見ると、WRCのトップドライバーに匹敵するスピードの区間もあった」

「もちろん、ステージ全体を通して高いパフォーマンスを発揮する力はまだないが、今後経験を積み重ねれば、世界最高のドライバーたちと対等に戦えるようになるはずだ。このラリーでは、注意深く走らなければならない難しい区間がいくつかあったが、タカは一貫性のある走りでミスなく高いレベルでヤリスWRCを操り続けた。それこそが、我々の今シーズンの目標のひとつでしたので、タカとダンは本当に良くやったと思う」

 勝田の次戦は、11月9-10日にラリー・ジャパンのテストイベントとして開催されるセントラル・ラリー愛知・岐阜2019となる。勝田にとっては約3年ぶりの国内ラリー出場にカーナンバー1をつけたヤリスWRCで参戦する。