ERC2023/05/23

大竹、小暮、山本がERCポーランドで成長を示す

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀が5月19日から21日にかけて開催されたFIAヨーロッパ・ラリー選手権の第3戦、ラリー・ポーランドに参戦、全16のスペシャルステージのうち、TGRの3選手が10ステージでトップタイムを記録し、小暮がERC4カテゴリー4位でフィニッシュ、大竹、山本は最終日のアクシデントによりリタイアとなりました。

 ラリー・ポーランドは、ポーランド北部マズールィ湖水地方の町、ミコワイキにサービスパークが置かれ、2017年までFIA世界ラリー選手権の舞台にもなっていたステージを使用し、3日間にわたって16 SS/182.06kmで争われた。

 ポーランドは流れるような高速のステージで、3選手がこれまでフィンランドのグラベルラリーで経験してきたステージと似たところもあるが、路面は軟らかく目の細かい砂状のグラベルに覆われており、キャラクターは異なるものだ。

 ラリー・ポーランドは、ヨーロッパ選手権およびポルトガル選手権をあわせて81台がエントリー、3選手が戦うERC4カテゴリーには25名の将来有望な若手ドライバーがエントリーしている。

 ラリーは、金曜日の夜にサービスパークの横に設置された、2台が同時に走るスーパースペシャルステージでスタート。そのSS1で、山本はドライブシャフトの破損によりステージを走り切ることができなかったが、マシンが修理されて土曜日に再出走すると、彼は土曜日の7ステージのうち、5つのクラストップタイムを記録し、土曜日単独ではクラストップの走りを見せることになった。

 大竹はSS1を4位でスタートを切ったが、土曜日の最初のステージで外側に膨らみ、サスペンションを破損したため、早々にデイリタイアとなった。一方、小暮は徐々にスピードを上げて、土曜日の午後にはクラス5位に順位を上げ、この日最後のSS8ではクラス3番手のタイムで締めくくっている。

 日曜日の朝は、3選手が常にクラス上位のタイムを記録し、ERC4のペースメーカーとなった。山本がSS9でトップ、SS10は山本と0.1秒差で大竹がトップタイムを記録すると、大竹はSS12でもトップタイムを刻んでいる。しかし、路面が荒れて轍が大きくなっていた午後のループの最初のステージで、山本はスローパンクチャーにより横転し、大竹はラジエータのダメージにより2選手ともにSS13でリタイアとなっている。

 終盤に力を発揮した小暮はSS15と最終ステージのSS16でトップタイムを記録し、クラス4位へ浮上してラリーを終えることになった。

 2期生の3人は次のように語っている。

小暮ひかる:「結果をうれしく思っています。どのステージもとても楽しみましたが、路面状況は予想以上に軟らかく、轍が多かったです。このような状況でのドライビングに少し苦戦していたので、土曜日は少し抑え気味に行きましたが、日曜日はもう少しプッシュを試み、タイムも出るようになりました。講師陣が、轍のセクションにもためらわずに入って行くように後押ししてくれて、それがうまく行きました。良い経験が得られ、良い週末になりました。ペースノートやクルマのセッティングにも良い自信を持つことができ、全てがうまく行きました。次戦のラリー・リエパーヤではさらに良い結果が出せればと思います」

大竹直生:「SS2で外側に膨らみ、木の切り株をヒットしてしまったことで、土曜日は残りのステージが走れませんでした。我々にとって新しいステージとなるポーランドで走行マイレージを稼ぐことが今回のメインポイントでもあったのでとても残念でした。ですが、早い段階から自信を持って走れていましたし、日曜日に再出走した際も同様で、スピードを見せられたことはよかったです。ステージは轍がひどく、クルマにとってタフな状況で、特に轍が大きかったSS13のどこかでラジエータにダメージを負い、走行を継続できなくなりました。轍が非常に深いところがあったり、路面が軟らかいといった初めての経験ができたのはよかったです。自分としては高速ステージでの走行がとても楽しく、ペースノートもうまく行きました」

山本雄紀:「日曜日の午後のアクシデントまでは、常に競争力ある走りができ、ラリーはうまく行っていました。ずっとトップ争いに絡むことができていたのは少し驚きでもありましたが、良かったです。自分たちにとっての新しい路面での走行をとても楽しむことができました。SS13では、道に大きな穴があったところでのブレーキでパンクをしていたのだと思います。ですがそれに気づかず、次のコーナーに向けてクルマの向きを変えようとしましたが全くできませんでした。今回のような轍はフィンランドでは経験がなく、私にとって新しく大きな学びでしたが、すぐに適応はできたと思います。車両トラブルとパンクがありましたが、それ以外のステージではERC4の上位ドライバーと互角に戦うことができたのはとても良かったです」

 チーフインストラクターを務めるミッコ・ヒルボネンは次のように評価している。

「選手たちのパフォーマンスと成長をとても嬉しく思っている。3選手とも良いスピードを見せてくれたし、クラストップタイムも記録した。山本は金曜日の最初のステージでトラブルが起きてしまい不運だったが、問題が解消された後は印象的なスピードを見せてくれた。トラブルがなければ、トップに立つことができたほど良い走りをした」

「小暮はスピードを徐々に上げていった。今回のような深い轍でどのようにプッシュすべきかを理解するのに少し時間を要したが、要点を掴んだようで、最後にはとても良いタイムを出し、順位を上げることができた。最後の2ステージは、我々が彼を少し追い込んだが、ミスなく走り切った」

「大竹は早い段階でのミスで土曜日をほとんど走れなかったのが残念だったが、再出走後は印象的な走りをした。次のラトビアでのラリーがとても楽しみになった。今回のような安定したスピードを保つことができれば、全員が表彰台を狙うことができると思う」

 2期生たちの次戦は、6月17-18日にラトビアで開催されるヨーロッパ選手権第4戦のラリー・リエパーヤとなる。