WORLDWIDE2017/03/21

新井、イタリア選手権開幕戦をクラス5位

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムにて欧州でトレーニング中の勝田貴元、新井大輝が、3月17〜19日に開催されたイタリア・ラリー選手権第1戦ラリー・イル・チョッコにフォード・フィエスタR2で参戦し、新井・マクニール組がクラス5位、総合16位で完走した。勝田・サルミネン組は好調な走行を続けていたが、デイ2の最終ステージを目前に、パンクによってリタイアとなった。

 イタリア・ラリー選手権は1961年から続く伝統ある選手権であり、中でも開幕戦のラリー・イル・チョッコは、かつてWRCイタリア戦で使用していたステージを含む難易度の高いラリーとして知られている。トスカーナ地方のチョッコを中心に、切り立った山岳路を使用し、17SS/175.3kmの競技区間で59台が競い合った。

 今回は勝田、新井にとってラリーチャレンジプログラムにおける欧州で初めてのターマック・ラリーであり、二人の学びのプロセスとして車両はこれまでのフォード・フィエスタR5からフィエスタR2へ変更しての参戦となった。二人は、ターマックでのタイヤの使い方、ペースノートの作り方を学ぶこと、そして新たな地でのラリー経験を積むことを目標とした。

 新井はサービス毎にセッティングを変更し、自分と道に合うセッティングを探して走行を続けた結果、徐々に調子を上げた。2度のパンクでかなりのタイムロスもあったが、最終的にクラス5位でラリーを終えた。

 新井は、ターマックでのペースノートについてもいい経験ができたと語った。

「今回は車が変わったことでこれまでと大きな違いがありましたが、この車の特性を徐々に掴み、楽しく走ることができました。これまでターマックでの経験がほとんどなかったので、タイヤの性能やブレーキ、車のセッティングなど、いい勉強になりました。また、このラリーはとても道が狭かったので、セーフティゾーンがほとんどありませんでした。そんな中、カットラインを含むベストなラインのペースノートを作ることがとても勉強になりました。ここで得た経験が自分の引き出しを増やし、今後のラリー活動に役立つと思います。次のサンレモのラリーもまたターマックなので、さらにペースノートとドライビングの精度を高めたいと思います」

 一方、サーキットレースのバックグラウンドを持ち、ターマックでの走行を得意とする勝田は終始クラス上位のタイムを記録していたものの、デイ2のSS12で前輪2本にスローパンクチャーが発生。フィニッシュラインまでは車を運ぶも、スペアタイヤを1本しか持っておらず、デイリタイアとなった。翌日のデイ3(最終日)には再出走したが、SS14で発生したギヤボックスのトラブルにより走行継続は困難と判断し、SS15が終わった時点でリタイアとなった。

 勝田は、悔しい結果のなかで収穫の多いラリーだったと語った。

「今回はターマックということもあり、このラリーを楽しみにしていました。しかし、思った以上にコースは難しく、また車が変わったことで、道幅が狭く凹凸のある路面と車の特性を合わせることも大変でした。今回のラリーは、ペースノートの作り方を大幅に見直してから初めてのラリーでした。このラリーのレッキは3回行うことができたので、ノートの作り方を変えたばかりの自分たちにとってはとても良かったです。ラリー中の走行リズムも良く、上位の選手とも互角に戦えるタイムを出せていたのですが、ラリーに慣れてきた矢先に何かに当たってスローパンクチャーを起こしてしまい、とても悔しい結果に終わりました。でも、ターマックでのセッティングやペースノート作りなど収穫の多いラリーでした。この経験を次のラリーにも活かしたいと思います」

 チーフインストラクターのヨウニ・アンプヤは、ラリー・イル・チョッコをふり返って次のように語った。

「二人にとっては初めてのことが多いラリーでしたが、テストの段階から車のセッティング、タイヤの選択等、多くの経験が得られたと思います。道を熟知する経験豊富な地元ドライバーに対して、経験の少ない彼らがクラス上位タイムを記録できたことはドライビングスキルが向上し、ペースノート走行ができているからと言えます。勝田はパンクやギヤボックスの故障など不運が重なりましたが、得意な路面でよい走りを見せてくれました。新井は舗装路での経験が乏しい中、よい戦いをしました。彼は車のセッティングの見つけ方が優れており、サービス毎にメカニックとよく話し合い、自分の答えをうまく出せたと思います」