WRC2018/11/01

20歳のラリオがナビミスでWRC3王座を失う

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(c)Rally RACC

 今季をもって幕を閉じることになっているFIA WRC3選手権は、53歳のエンリコ・ブラッツォーリと20歳のタイスコ・ラリオ(写真)によるタイトル争いとなっていたが、ラリオがコドライバーのナビゲーションミスによって10分ペナルティを課され、ブラッツォーリが王者に輝くという波乱の決着を迎えることになった。

 WRC3は、ドイツで優勝したラリオが83ポイントを獲得して選手権をリード、モンテカルロで優勝したブラッツォーリが10ポイント差で続いて先週末のスペインを迎えていた。しかし、ベスト6戦で争われる選手権でラリオはこれが最後となる7戦目の参戦プログラムであり、ブラッツォーリにとってはあと一戦、最終戦オーストラリアへ参戦する余力を残していた。

 CHLスポールのプジョー208 R2を駆るラリオが金曜日のグラベルでリードを奪う展開となり、この日の最終ステージまでに4分あまりの大差をつけてラリーをリード、雨となった土曜日はブラッツォーリ(プジョー208 R2)がオープニングSSの難しいコンディションのなかで巻き返しを図るべくベストタイムを奪って始まったが、ラリオが次のステージでリードを4分21秒へと広げてデイサービスを迎えることになった。

 だがサービスに戻ったラリオに信じられないニュースが届く。前日の最終ステージのあと、サロウのサービスへと戻る際に設けられていたパッセージコントロール(PC)を不通過しており、ペナルティ10分を課されてラリー2規定の下でこの日を継続している扱いにするという判定を受けることになったからだ。

 PCはタイムコントロール(TC)とは異なり、通過時刻が定められたコントロールではないが、タイムカードに通過したことを証明するスタンプを押してもらう必要がある。だが、ラリオのコドライバーがナビゲーションミスのためにルートを間違え、彼はPCを通過しないままサービスパークの敷地に入ってTCにインしていたという。

「朝のターマックは少し滑ったが、我々は快適なペースでリードを守ったが、その後で不幸な報せを受けた。前日の夜にナビゲーションエラーのためにロードマップに従わずに正しいルートを通過しなかったため10分のペナルティを課すということだった。本当にがっかりだったが、2位をキープしてゴールするしかなかった」とラリオは語っている。

 これで首位となったブラッツォーリは、6分近くをリードすることになったが、あまりにも思ってもみなかった展開のため、彼は大きなプレッシャーと戦いながら勝利とともにチャンピオンのゴールを迎えることになったと告白している。

「最後のステージは、永遠に、決して終わらないかようだった。最終日は私の人生の中で、最も長い時間のある62kmだった。やっとゴールを迎えて、世界チャンピオンであるペッター・ソルベルグにお褒めの言葉をもらって、そのあとセバスチャン・ローブとセバスチャン・オジエという2人の世界チャンピオンとともに将来の世界チャンピオンであるまだ子どものカッレ・ロヴァンペラとともに記者会見に出席することになった。この気持ちを言い表すことなんてできないよ!」

「20歳のラリオは残念だ、彼はとても速かった。しかし、僕らはサルディニアでラジエータを壊し、いくつものミスがあったけど諦めずに起き上がり、戦いを再開するために武器をとった。これはラリーであり、スポーツであり、これが私の望んだ人生だ。私は53歳だが、ミスをしなかった。年齢を武器に勝ったのだ」

 ブラッツォーリはチャンピオンを獲得したにもかかわらず、当初の予定どおりに最終戦のオーストラリアにはレンタカーのシトロエンDS3 R3で出場する予定だ。