ラリー・ジャパンでWRC2チャンピオンに輝いたサミ・パヤリは、その翌日、来季はトヨタGAZOOレーシングWRTからGRヤリスRally1でフル参戦を果たすことが発表となった。パヤリは、自身のキャリアにとってWRC2タイトルは大きな意味を持つと語った。
史上空前のタイトル争いになったと称された今季のWRC2。パヤリはサルディニアとポーランドで優勝を飾って成長を証明したが、とりわけ史上初めて同タイムで二人のドライバーがフィニッシュしたアクロポリス・ラリーにおいて歴史的な勝利を飾ってタイトル争いに加わることになった。
パヤリは、オリヴァー・ソルベルグに続いて選手権2位で迎えた最終戦のラリー・ジャパンで2位以上でフィニッシュすればチャンピオンを決めることができるという条件のなか、パンクに見舞われてひやりとするシーンもあったが、非常に難しいターマックステージでも一貫したパフォーマンスを続けて2位の座を守り抜き、タイトルを決めることになった。
パヤリは、強力なライバルたちの戦いがあったからこそ、このタイトルは価値があるものだと語っている。
「もちろん、このタイトルは僕にとって大きな意味がある。素晴らしい成果を挙げられて本当にうれしい。WRC2は本当に厳しいカテゴリーで、競争も激しいので、チャンピオンシップで勝つこと、さらにはそれぞれのラリーで勝つことさえ簡単ではない。しかし、それは僕たちドライバーにとっていいことだと思う。お互いを刺激し合って、多くのことを学んでいる」
「僕たちに関しては、今年は本当に強かったという実感がある。変わりやすいコンディションのなかでもとてもいい走りを見せられたし、今年は新しいマシンを手にいれたことも大きかった。新しいマシンがすぐに速くなるとは限らないけれど、GRヤリスRally2は最初から信頼性が高く、しかも速いマシンに仕上がっていた。だからこの素晴らしいマシンとともにタイトルを獲得することは重要だったし、もちろん、ここ日本でそれができたことも、こんなにうれしいことはない」
今季はWRC2のチャレンジをしながらGRヤリスRally1で3戦に出場し、その将来性を証明するかのように存在感をみせてきた。トヨタは来季、パヤリにGRヤリスRally1でフル参戦のチャンスを決定、彼はキャリアの次の段階へと歩みを進めることになったことを喜んでいる。
「夢が叶ったよ。チームがこのような素晴らしい機会を与えてくれたことを本当に感謝している。この夢が実現するまで、たくさんの人たちが僕をサポートしてくれた。今年はさまざまな挑戦の機会があり、素晴らしいシーズンになった。もちろん、夢だった場所には到達したが、良い結果を出すためには、ここからが本当に大変な仕事になるはずだ!」
パヤリは来季のRally1カーでのフル参戦が決まった月曜日、これまでコドライバーを務めてきたエンニ・マルコネンとのパートナーシップを今シーズンをもって終えることを明らかにした。パヤリは、2021年にジュニアWRCタイトルを獲得した翌年からマルコネンをコドライバーに迎え、昨年のラリー・フィンランドにおけるWRC2初優勝、そしてWRC2タイトルを果たすことになった。
それだけに今回のコンビ解消のニュースは驚きとともに伝わることになったが、パヤリは二人で栄冠を達成できたことを喜びつつ、マルコネンと離れて新しいチャレンジをすることになったと報告している。
「これは僕にとってエニと一緒に走る最後のラリーだった。僕は、彼女がこの3年間懸命に働いてくれたことに、心から感謝している。そして、僕たちは本当に素晴らしいことを成し遂げたと思う」とパヤリは語っている。
「パートナーでなくなるということは、仕事では普通のことだと思う。人が入れ替わって、僕たちの道は今、別の方向を向いている。シーズンに設定された主な目標を達成し、チャンピオンシップに勝ち、再び表彰台に上がった後ほど、別れるには良い場所はないだろう。僕たちは一緒に祝い、それぞれが新しい道に進むつもりだ。」