WRC2023/12/30

【TOP10-第3位】エルフィン・エヴァンス

「ワールドチャンピオンに果てしなく近いた」

■エルフィン・エヴァンス

Elfyn Evans
Toyota GAZOO Racing WRT

エルフィン・エヴァンスはまたも悲願のチャンピオントロフィーに自らの名前を刻むことはできず、ドライバーズ選手権では3度目の2位となった。しかし、未勝利に終わった昨年のスランプから抜け出し、2023年シーズンは勝利数でもカッレ・ロヴァンペラと同じ3勝で並び、ワールドチャンピオンに果てしなく近いた。

ハイブリッドRally1カー初年度となった2022年はエヴァンスにとって不運なシーズンとなったが、2023年は復活のシーズンとなった。モンテカルロ、スウェーデンの開幕2戦では表彰台にとどかなかったが、メキシコでは最終日にサスペンションに問題を抱えてしまい、0.4秒差で2位を逃すことになったが、ドライビングもマシンのセットアップも正しい方向に向かっていると彼は確信することになった。

エヴァンスはクロアチアで1年半ぶりとなる待望の勝利を飾り、長いスランプを脱したかに見えたが、選手権リーダーとして難しい条件のなかでスタートしたポルトガルではハイスピードでコースオフ、立ち木に激突してリタイアすることになった。

エヴァンスはこのクラッシュによって、選手権リーダーとなったカッレ・ロヴァンペラに29ポイント差をつけられたが、この差がタイトル争いで最後まで響くことになり、彼は「あれはちょっと度を越した勇敢さだった。その代償は大きかった」とのちにふりかえっている。

彼は毎戦、とにかくロヴァンペラの前でフィニッシュすることを目指すが、サルディニア、サファリ、エストニアではいずれもチームメイトにわずかに届かず、選手権のビハインドは55ポイントへと拡大してしまった。

だが、雨で信じられないほど滑りやすくなったフィンランドでエヴァンスは圧巻の走りをみせてシーズン2勝目、ロヴァンペラがノーポイントに終わったため、二人のポイント差はわずか25ポイントに縮まった。一年前は新しいマシンになじめず、苦しい戦いになったが、ふたたびフィンランドを制したことで、2年前にセバスチャン・オジエとタイトル争いを演じたときのドライビングの完全に取り戻すことができたように見えた。

それでもエヴァンスはギリシャでは成熟の走りをみせるロヴァンペラに及ばず2位に、チームメイトの2度目のチャンピオン獲得を阻止するために強い決意とともに臨んだチリでもタイヤ戦略の問題にも阻まれてライバルを引き離せないまま3位でフィニッシュすることになった。

そして迎えた運命のセントラル・ヨーロッパ。エヴァンスが今季最終ラウンドのジャパンまで優勝争いを続けるためには、ロヴァンペラより最低でも前でフィニッシュ上回る必要があった。金曜日を終えて、ロヴァンペラが首位を走るなかエヴァンスは47秒遅れの3位で続いており、逆転のチャンスを信じて難しいターマックでリスクを負うことも必要だった。

だが、エヴァンスはタイトな右コーナーでコースオフ、木製の小屋に正面からクラッシュ、続行不能となってしまい、彼のタイトルチャレンジもここで終わりを迎えることになった。

惜しくもワールドチャンピオンにはなれなかったが、エヴァンスは雨で難しいコンディションとなったジャパンではキャリア最多となるシーズンでの3勝目を挙げ、昨年よりもはるかに説得力のある強さをもつドライバーへ成長を遂げたことをアピールした。

ロヴァンペラが2024年、限定的な参戦を選ばなかったため、エヴァンスは当然のことながらタイトル争いの本命の一人ということになる。これまで手が届かなかったワールドチャンピオンの座を今度こそ獲得するチャンスがあるのでは?

エヴァンスはタイトルへの期待について問われ、「現実的かどうかは別にして、誰もがそうであるように僕らもそれを常に目標している」と彼らしく控えめに答えている。「2023年は、競争力が増し、安定性が増し、信頼性も増している。しかし、まだ改善できると分かっている部分もあるし、来シーズンは当然それらの部分に注目していきたい」

生年月日:1988年12月28日(35歳)
選手権ランキング:2位
獲得ポイント:216点
ベストリザルト:1位
優勝回数:3回
2位の回数:1回
3位の回数:3回
表彰台回数:7回
出場回数:13回
ベストタイム回数:24回
リードしたステージの数:47SS
リタイア数:1回
リスタートの回数:1回
パワーステージ勝利数:2回
パワーステージ獲得ポイント:32点