ERC2024/05/05

白熱カナリア、ボナートとフランセスキが0.3秒差

(c)RedBull Content Pool

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 2024年ヨーロッパ・ラリー選手権の第2戦、ラリー・イスラス・カナリアスは、ヨアン・ボナート(シトロエンC3 Rally2)が2年連続優勝に向けてリードして金曜日を終えたものの、わずか0.3秒後方にはマチュユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が続く、白熱したバトルとなっている。

 5度のフランス・ターマック・チャンピオンに輝いたボナートは、木曜日の予選ステージでトップを奪い、新シーズンのERC規定に従って金曜日を一番手の走行順でコースをスタートすることになった。しかしながら、カナリアス諸島は変わりやすい天候で知られるため、彼はむしろステージのコンディションを適切に判断するためにはもっと後方でスタートしたかったと本音をもらしていたが、そんな悩みなど吹き飛ばすくらい快晴となった朝から彼はパーフェクトな走りでラリーをリード、フランセスキがそれに続くことになった。

 ところが、二人を上回る速さを見せて、最前線をざわつかせたのは、今季からトヨタ・スペインの支援を得て、新しいトヨタGRヤリスRally2にマシンをスイッチした地元スペインのアレハンドロ・カショーンだ。前夜のオープニングSSを19位で終えた彼は、SS3、SS4で連続してベストタイムを奪って一気に首位へと浮上、ボナートとフランセスキは3.8秒差の2位で並んで朝のループを終えることになった。

 だが、午後のループがはじまってすぐにカションは右フロントタイヤをバースト、40秒を失って17位までポジションを下げてしまった。驚異的なペースを見せたカショーンは「がっかりだよ。たぶん何かに接触してパンクしたんだろう」と語ったが、少しも萎えてなどいないように、この日の残り2ステージともベストタイムを奪い、ポジションを9位まで戻してレグ1を終えている。

 カショーンの後退でトップ争いは、ボナートとフランセスキの二人に絞られることになった。SS5のトップタイムでふたたび単独リーダーとなったボナートに対して、グリップの変化に悩まされて押され気味だったフランセスキは、この日の最終ステージでやっと反撃に転じ、ボナートに0.3秒差まで迫ってレグ1を終えることになった。

「このラリーには勝ちたいが、チャンピオンシップは長いので、そのためのリスクを冒したくない」とフランセスキは語ったが、もちろん明日も同じ戦いを続けるつもりだ。ボナートも初日の走りには満足しているとふり返ったが、この厳しい戦いは明日も続くはずだと厳しい表情で語っている。「いい走りができたし、たくさん楽しめたよ。でも、戦いは続くし、この走りを明日も続けなければならない。気温がより上昇して、僕らもタイヤが厳しかったが、マシンはパーフェクトだったし、午後には満足している」

 開幕戦のラリー・ハンガリーに続く表彰台を目指すフランセスキから11.8秒差の3位には、ディフェンディングチャンピオンのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)が続く。パッドンはピレリのグリップに苦しんだが、午後のループでシトロエン・スペインからスペイン選手権に参戦して2シーズン目となるジュニア・チャンピオンにディエゴ・ルイロバ(シトロエンC3 Rally2)を抜き去り、5.1秒差をつけている。

 また、ルイロバの4.1秒後方にはスペインのホセ・スアレス(シュコダ・ファビアRS Rally2)、さらに1.3秒差の6位にはジョン・アームストロング(フォード・フィエスタRally2)がマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 Rally2)を抑えて続いており、最終日も順位が大きく動きそうな展開となっている。

 また、母国で行われた開幕戦ハンガリーで3位となったミクローシュ・チョモス(シュコダ・ファビアRS Rally2)はSS4でコンクリート壁に激突するクラッシュに見舞われ、ラリーを終えている。