ERC2017/08/28

コペツキ、地元戦ERCチェコで6度目優勝

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 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第6戦バルム・チェコ・ラリー・ズリンは27日日曜日に最終日を迎え、シュコダ・モータースポーツのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)が前日までのリードをさらに広げてチェコを代表するこのERCイベントで6度目の勝利を獲得するとともに今季のERCでの6人目のウィナーとなった。

 初日を終えて16.6秒差の2位につけていたロシアのアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)は最終日の追撃が期待されたものの、彼はオープニングSSで3.6秒を失ったあと、5月の事故で骨折した脚の痛みがひどくて100%で攻めることがと訴える。「正直言って、ひどい状態だ。脚や筋肉に痛みがあり、今日は正常にドライブすることが難しい。僕らに今できることは何もない。100%でプッシュすることはとてもできない。フィニッシュすることしか頭にないよ」

 ルクヤヌクが完全にペースを落とすなか、コペツキは安定したペースで快走、この日行われた6ステージのうち5SSでトップタイムを奪ってリードを広げ、最終的にルクヤヌクとの差を55.5秒に広げて優勝を飾っている。コペツキはチェコ選手権ではすでに前戦ラリー・ボヘミアで3年連続での王座を決めているが、今回のバルム・チェコ・ラリーで6戦連勝を達成、10月に開催される最終戦ラリー・プルシーブラムで7戦全勝での王座を目指す。

「小さなミスをせずに、フルブレーキを踏まず、ラインを外さないことを今日は心がけたんだ。バルム・ラリーでの6回目の優勝という記録を見たかったわけではないが、いつかきっとこれを誇りに思う日がくるだろう。簡単な勝利ではなかったが、ここは僕にとって特別なラリーだから格別な気持ちだよ」とコペツキは語った。

 ドラマが連続したのは3位争いだ。初日を終えて3位につけていた地元のヴァーツラフ・ペッシ(シュコダ・ファビアR5)は朝のロードセクションでタイヤをパンク、さらにSS11でも不運なパンクが重なることになったためスペアを1本しか搭載していなかったためにリタイアとなってしまった。

 これで3位争いは地元のトーマス・コシュトカ(シュコダ・ファビアR5)と元シュコダ・ワークスのロマン・クレスタ(シュコダ・ファビアR5)のバトルをなった。過去5回のチェコ・チャンピオンに輝いている地元のヒーローだったクレスタも41歳となり、3年ぶりのチェコ・ラリーは14位からの慎重なスタートとなったが、じょじょにペースをアップ、最終ステージでベストタイムを奪って劇的な逆転で3位でフィニッシュ、4年ぶりにチェコ選手権での表彰台に立つことになった。

 選手権リーダーのカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)は、初日はバンピーなステージにセットアップがあわずに8位にとどまったが、最終日もクリーンな走りをキープして5位でフィニッシュ、「トップ2台のパフォーマンスに比べると見劣りする走りだったが、選手権で13ポイントだったマージンをさらに広げるためには今回はクリーンに行くことが重要な戦略だった」とカイエタノビッチは語っている。いっぽう、ブルーノ・マガラエス(シュコダ・ファビアR5)はセットアップの変更も期待外れに終わることになり9位でゴール、選手権の2位をキープしたものの、二人の差は23ポイントに広がっている。

 ドイツのマリヤン・グリーベル(シュコダ・ファビアR5)は、ERCジュニア・アンダー28選手権のタイトルを争うライバルたちがすでに遅れていたため、およそ10秒後方に迫っているチェコのヤン・チェルニー(シュコダ・ファビアR5)から逃げ切ればタイトルをここで決めることができる。

 総合4位でスタートしたグリーベルだが、チェルニーがSS11の高速コーナーでスピンした際にパンク、タイヤ交換のために2分20秒をロスして大きく後退したためにタイトルを確信して大きくペースダウン、総合6位まで順位を落としたものの、ERCジュニアU28で今季3度目の優勝を飾り、昨年のERCジュニア選手権に続いてステップアップカテゴリーで2年連続の王者に輝くことになった。

 ラトビアのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアR5)はギリシャで火災事故に見舞われたあと精彩を欠いたラリーが続いており、今回もERCジュニアU28の3位・総合14位に終わることになった。プジョー・ラリーアカデミーのホセ・スアレス(プジョー208T16 R5)は初日に3回のパンクを喫したためにナーバスな走りになってしまい、彼もU28の4位・総合15位が精一杯だった。

 ERCジュニアU27は、オペル・ジュニアチームのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)とヤリ・フットネン(オペル・アダムR2)がレグ1で相次いでリタイアとなったあとポーランドのアレクサンデル・ザヴァダ(オペル・アダムR2)が首位に浮上、後続に3分差をつけて初優勝を飾ることになった。

 ERCの次戦は9月15〜17日にイタリアで開催されるターマックラウンドのラリー・ディ・ローマ・カピターレとなっている。