WRC2025/05/09

サインツ、FIA会長選への立候補を検討

(c)RedBull Content Pool

 伝説のワールドラリーチャンピオンであるカルロス・サインツは、次期FIA会長選挙に立候補することを検討していると英国の『Autosport』が報じている。

 現FIA会長のモハメド・ベン・スレイエムの最初の任期は今年の年末に終了するが、現在のところ、彼に対抗する正式な立候補を表明した者はいない。しかし今、世界ラリー選手権で2度のタイトルを獲得し、ラリー界のレジェンドである63歳のカルロス・サインツ・シニアが、ベン・スレイエムに代わってその役割を担うべく、立候補の準備を進めているようだ。

 サインツは、自身が会長選への出馬を真剣に検討していることを認めている。

「理由はたくさんあるが、私は40年以上ドライバーとして活動してきて、このスポーツが私にすべてを与えてくれた」とサインツは語った。

「この(会長になる)可能性は以前から頭の片隅にあった。それほど深く考えていたわけではなかったが、私のキャリアの中で、今こそその一歩を踏み出すにふさわしい時期ではないかと感じている。私は自分が良い仕事ができると確信しており、優秀なチームを編成して、このスポーツが私に与えてくれえたものの一部を還元することができると思っている」とサインツは続けた。

 サインツはモータースポーツ界で幅広いキャリアを積んできた。26勝を飾ったWRCから引退した後は、ラリーレイド、とりわけダカール・ラリーに転向して成功を収めてきた。2024年にはダカールで自身4度目の総合優勝を果たし、同大会史上最年長の勝者となった。

「私はこのスポーツにおいて長年にわたって多くの経験を積んできた。だからこそ、このスポーツおよび自動車界の強化と発展のために、自分が新しく興味深い視点をもたらすことができると確信している」とサインツは語っている。

 サインツの息子であるカルロス・サインツJr.は現在、ウィリアムズからF1に参戦している。サインツは、もし自身がFIA会長に選出された場合には、利益相反を回避するためにあらゆる手段を講じるつもりだと述べた。

 また、サインツは現会長のベン・スレイエムについても質問を受けたが、これを批判することを避け、そのような評価は他者に委ねると語った。スレイエムの任期中にはFIAの複数の幹部が辞任しており、直近ではスポーツ担当副会長のロバート・レイドが退任している。

「もし私が立候補するとしても、それは誰かと争うためではなく、モータースポーツに対する情熱と愛情によるものだ。なぜなら、私は自分が特定の事柄に対し、貢献し、改善できると信じているからだ。個人的にもプロとしても、私にとっておそらく今が最もふさわしいタイミングであり、だからこそ検討している」とサインツは強調した。

 次期FIA会長選挙は12月12日にウズベキスタンで実施される予定だ。サインツは今後、自身への支持がどの程度あるのかを水面下で見極めたうえで、正式に立候補するかどうかを決めることになるだろう。同メディアによれば、モータースポーツ界の複数の有力関係者がサインツを支持する意向を非公式に表明しているという。