WRC2019/02/19

タナク、「一度も全開では走っていない」

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームのオイット・タナクは、ラリー・スウェーデンにおいて後続に53秒も差をつけて独走で初勝利を飾り、さらにパワーステージをも制する完全な勝利を収めながら、一度も全開では攻めなかったと明かしてライバルたちを震撼させている。

 タナクのパワーステージでの勝利は、ドライバーズ選手権の争うライバルたちにむけた明確なる宣戦布告だった。

「僕たちはラリーウィークを通して全開では走っていない。おそらくパワーステージが最もプッシュしたステージかもしれないが、全くリスクは冒してないし、良いドライブをしようとしただけだ」とタナクは平然と答えた。

「僕たちは最終日、スタッドタイヤを温存するためにマネージメントをしてきたことはたしかだが、僕たちは良いラインでほぼ完璧なステージができて、リズムも良かった。出走順も良かったのだと思う」

 道路の雪が溶け出した金曜日の午後のループは、先頭ランナーにとっては悪夢ともいえるコンディションとなったが、タナクはここでどうにか首位から2秒の遅れで踏みとどまった。タナクは二日目以降、不利なコンディションのなかでライバルが苦戦していたため、有利な走行ポジションにいる自身がリスクを負う必要もなかったと感じている。

「実際、金曜の午後はこのラリーの中で最も過酷だった。しかし、僕たちはクラッシュやミスもなく生き残り、いいポジションで土曜日をスタートできたので、それが決定的になった」とタナクは語った。

「土曜日もコンディションがとてもトリッキーだったので、プッシュしたくなかったし、リスクを最小限に収めようとした。僕らはいつも十分の一秒を争わなければならないが、戦う必要がなかったので、いくつかの場所では少し退屈とさえ感じたように思う」

 タナクはこの勝利によってティエリー・ヌーヴィルに7ポイント差をつけてドライバーズ選手権を初めてリードすることになった。1996年から99年まで4年連続のワールドチャンピオンに輝いた経歴をもつトヨタGAZOOレーシングWRTを率いるトミ・マキネン代表は、この週末にタナクがみせた強さに、自身の若かりし頃の姿をオーバーラップさせていたようだった。

「オイットがこの誰にとっても予測不能な困難なコンディションのなかで週末をしっかりとコントロールして、どのように走ったら良いのかをライバルたちにはっきりと示した。彼は今、本当に強いドライバーだと思うし、タイトルを取るために集中していた20年前の自分を見ているようだ」