WRC2018/04/30

タナク+トヨタ、アルゼンチンで今季初優勝

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 FIA世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリー・アルゼンチンは29日に最終日をむかえ、トヨタGAZOOレーシングのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が後続を37.7秒を引き離して独走、チームに移籍後初優勝を飾ることになった。

 ラリー・アルゼンチンの最終日はトラスラシエラ山岳が舞台となる。オープニングSSとなるのは、WRCの中でも最も有名な道の1つであるエル・コンドル。今年はそれまでのゴール地点だったコピナからスタートとなり、フィニッシュに向けて746mを駆け上がる登りのステージとなる。

 霧になれば視界がゼロになるが、今年は明るい陽射しの朝を迎えており、雨の気配はない。このステージの2回目の走行がパワーステージとなるため、ステージ周辺には昨夜から8500台の自動車が駐車しており、およそ10万人の観客が見守ることになか、アンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)がトップタイム、セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)が0.5秒差の2番手タイム、タナクは1.6秒差の3番手タイムで続くことになった。

 46.5秒差の2位で最終日を迎えたティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20クーペWRC)は4.6秒遅れの5番手タイムも、もはやタナクを追う考えはない。首位からは49秒の遅れとなったが、「今回はプッシュする必要はなかった。ペースノートをチェックするためにクリーンに走るだけだった」と語り、ボーナスポイントがかかったパワーステージにむけて準備したと明かすことになった。

 続くSS17ジュリオ・セザレ〜ミナ・クラベーロでは、ヌーヴィルがベストタイム、タナクはここではペースを落として8.1秒遅れの4番手タイムとなり、リードを40.9秒として残されたのは最終ステージのみとなったが、タナクは無数の観客が見守る道路脇の巨大な岩をすり抜ける最後のワインディングセクションをクリーンに駆け抜けて今季初優勝、自身3度目の勝利を飾ることになった。

「これは特別な勝利だ。チームを移籍する時というのは、どうなるか予測がつかないものだが、僕たちがこれほど早く進歩していることが分かって嬉しいよ。マシンはほぼ僕の好みに近づいているが、僕たちはこの先も同じように続けていく必要がある!」とタナクは語った。

 ヌーヴィルは37.7秒差の2位でフィニッシュ、さらにパワーステージを制してボーナスの5ポイントを獲得して選手権リーダーのセバスチャン・オジエに10ポイント差に迫ることになった。また、チームメイトのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20クーペ)はメキシコに続いて2度目の表彰台を達成、ニューエンジンを投入するなど南米決戦に勝負をかけたヒュンダイはダブルポディウムを達成したことで、マニュファクチャラー選手権のリードを15ポイントに広げることに成功している。

 順位がほぼかたまった最終日の朝、多くのドライバーがペースをコントロールして堅実なフィニッシュを目指すなか、5位でこの日を迎えたアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)はヒュンダイの2-3-4位をめざしてオジエへの追撃を開始する。

 彼はSS17で2番手タイムを奪って、オジエの3.8秒差に迫ったが、最終ステージではオジエも渾身の走りをみせて2番手タイム。オジエがミケルセンの追撃を4秒差でかわして4位でフィニッシュ。悲願だったアルゼンチンでの初勝利はまたも叶わなかったが、オジエはドライバーズ選手権でも10ポイント差で引き続きリーダーをキープすることになった。

 昨年0.7秒差で勝利を逃したエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタWRC)は今回は6位に終わることになった。土曜日のパンクで表彰台争いから脱落してしまったクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)は7位となったが、新しいジオメトリーをもつリヤサスペンションに彼は満足しており、次戦のポルトガルでの巻き返しを誓っていた。

 6位につけていたエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)にとって失望の最終日となってしまった。ラリーカーの通過でコースには無数の尖った石がかきだされていたが、彼はSS16をスタートして3つめのコーナーで右リヤタイヤをパンクして8位まで後退してしまった。彼は「しっかりコースをキープしていたんだ、何も接触していないのにパンクしてしまった」とがっかりしたように語った。

 それでも彼は、チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラが初日にリタイアしたあとナンバー2としての使命を十分に果たしてマニュファクチャラー選手権の貴重なポイントをもちかえっている。今季初勝利を達成したことでトヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームは、選手権2位のMスポーツ・フォード・ワールドラリーチームに5ポイント差まで迫ることになった。