ダカール初挑戦に向けたダチアの準備は、ラリー・ドゥ・モロッコで完璧なスタートを切った。金曜日の午後、ナッサー・アル-アッティーヤとセバスチャン・ローブが、サンドライダーのデビュー戦でワン・ツー・フィニッシュを決めた。
カタール出身のアル-アッティーヤはダカールのあと長年栄光をともにしてきたマチュー・ボーメルからエドゥアール・ブーランジェにナビゲーターをスイッチ、二人はラリー・ドゥ・モロッコでも月曜日の短縮された開幕ステージを制すと、その後一度もメカニカルトラブルやパンクに見舞われることなく勝利を飾った。
またこの勝利によって、アル-アッティーヤは世界ラリーレイド選手権(W2RC)の3連覇を達成した。ダカール・ラリーで得られるポイントはシーズンの残りのラウンドで獲得可能なポイントすべてを足したよりも多いが、彼は今年のダカールで完走できなかったにもかかわらず、プロドライブ・ハンターを駆って参戦したアブダビ・デザート・チャレンジとラリー・レイド・ポルトガルでの優勝がタイトルに大きく貢献、そしてラリー・ドゥ・モロッコでの勝利がタイトルに貢献した。
一方、ローブはモロッコで波乱のスタートを切った。彼はプロローグで溝に落ちてクラッシュし、初日は121番手からのスタートを余儀なくされた。さらにステアリングアームを破損し、12分の遅れを喫した。
それでも、ローブは水曜日にはダチアにとって初となるステージ勝利を獲得し、金曜日にも再びステージ勝利を収め、最終日には4位から2位に浮上した。
X-Raidの新型MINI JCW Rally3.0iもまた、ダチア・サンドライダーと同様にモロッコで競技デビューを果たした。ギヨーム・ド・メヴィウスとゲラン・シシェリの2人はシーズン半ばにオーバードライブから移籍し、モロッコと来年のダカールに向けてチームラインナップの先頭に立った。シシェリがプロローグで最速タイムを記録するなど、彼らは力強いスタートを切り、2位と3位で最終日を迎えた。
しかし、2人はともに275kmのメングーブのステージで災難に見舞われた。まずシシェリが最終セクションの序盤でテクニカル・トラブルに見舞われ、3位からリタイアした。一方、ド・メヴィウスはアル-アッティーヤに迫り、2つ目のウェイポイントまでに首位から2分差まで追い上げたが、ステージ途中でストップし、再び走り出すにはチームメイトのジョアン・フェレイラの助けを借りなければならなかった。
ド・メヴィウスはオーバードライブから参戦した今年のダカールでトヨタ・ハイラックスを走らせて2位を獲得している。新型MINIのデビュー戦でも最終ステージ中盤まで優勝争いに加わっていたが、最終的にはローブに2位を明け渡したものの3位をキープし、4位のヤジード・アル‐ラジ(トヨタ・ハイラックス・エボ)に10分の差をつけてフィニッシュした。
トヨタGAZOOレーシングのトヨタ・ハイラックスを駆るセス・キンテーロとルーカス・モラエスは最終ステージで2番手タイムと4番手タイムを記録したが、表彰台争いの望みは週の初めに絶たれていた。キンテーロは初日に18分の遅れを喫したところから5位まで挽回し、一方、モラエスは火曜日のステージ優勝から24時間も経たない水曜日にスロットルのトラブルで1時間以上を失った。
Mスポーツ・フォードのカルロス・サインツは5度目のダカール優勝に向けて新しいフォード・ダカール・ラプターで出場したが、失望の結果となった。彼は木曜日のプロローグでステージ優勝を獲得したものの金曜日は4番手タイムとなったが、テクニカルトラブルによってステージ2をスタートできず、フォードにとって初のW2RC表彰台の望みは早々に絶たれた。チームメイトのマティアス・エクストロームも、アウディ・ダカールから移籍してきたが、最終ステージの最初のウェイポイント手前でリタイアした。