WRC2024/12/13

チームメイトのマシン修理を手伝うことが許可へ

(c)Toyota

 2025年の世界ラリー選手権では、新たにラリー中にチームメイト同士がマシンの修理などで支援しあうことが可能となる。

 FIAは水曜日、世界ラリー選手権のレギュレーションについてのアップデートを承認することになった。最も注目を集めたのは、来季から導入される新しいポイントシステムと、2027年に発効予定の「WRC27」と呼ばれるテクニカルレギュレーションだった。しかし、FIAの発表には、そのほかにも来シーズンにすでに適用される他のルールについての重要なアップデートも含まれていた。

 なかでももっとも注目されるのは、マニュファクチャラーチーム内であればドライバーは競技中にチームメイトのマシンに「物理的な支援」を提供することが可能となるという新しいルールだ。

 これまでのWRCではたとえばロードセクションでチームメイトが技術的な問題でストップしていても助言を与えることは可能だが、直接マシンに触れることやオイルや水といったものさえ与えることさえ、外部からのアシスタンスを禁止するルールに抵触していたため認められていなかった。

「WRCに新たな仕組みを構築し、ストーリー性を高めるために」と説明されたこの新しいルールにより、マニュファクチャラーチームのドライバーが技術的な問題に遭遇した場合、修理のためにチームメイトから物理的な支援を受けることができることになる。このルールを利用するには、両方の車がマニュファクチャラーポイントを競うためにノミネートされている必要がある。

 今回の発表では、「物理的な支援」が具体的に何を意味するのかは明らかにされていないが、車両に搭載されたスペアパーツや工具を使ってトラブルに遭遇したチームメイトの修理を手伝うことが可能となるが、スペアタイヤや特定のスペアパーツとしてその車両に登録されているものについては提供することができないと予想されている。

 ステージを走行しているラリーカーが多くのデータを送信し、それらをライブ中継で利用できるようになる新しい「コマンドセンター」導入に向けての第一歩として、チームと競技車両間のデータ送信やクルーとの通信が、WRCプロモーターを通じて行われる場合に限り有効となり、FIAによって管理・運営されることが正式に承認されることになった。ルールでは、こうしたデータ送信や通信が「競技以外の目的で行われる場合に限って認められる」と但し書きがされており、たとえばチームがステージ中にラリーカーにスプリットタイムや車両が抱えている技術的な問題などの情報を提供しないようにするためにFIAはこの通信を監督および管理することになる。

 また、プロモーションの面では、シェイクダウンの3回目の走行におけるメディアやVIPの同乗体験は、今後は各マニュファクチャラーにつき1台だけ提供すれば済むことになる。この変更によって、全マシンを利用可能にするというチームの義務が軽減される一方で、WRCプロモーター、チーム、主催者にとっては、VIP乗客の同乗体験による宣伝機会が維持されることになる。