WORLDWIDE2024/06/25

デュマがパイクスピーク栄冠、ソルドはクラス優勝

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 米国コロラド州で開催されたパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム・チャレンジ2024にダニエル・ソルドがヒョンデ・アイオニック5 NをベースにしたEVマシンで挑戦、記録的なタイムでクラス優勝、総合でも3位入賞を果たすことになった。また、総合優勝は、序盤のテクニカルトラブルから挽回し、自身5度目のパイクスピーク制覇を達成したロマン・デュマだった。

 デュマが駆ったEVマシンのフォードF-150ライトニング・スーパートラックは、全長12.42マイル、156ターンの伝説的なヒルクライムのコースを走り始めた直後に突然停止した。しかし、デュマは素早い判断でリセットを実行し、予選時の走行と比較して約26秒のロスで走行を再開した。

 デュマはひとたび走り出すと、その後は故障もなく、パイクスピークを軽々と駆け上がって8分53秒553の総合トップタイムを叩き出して、アンリミテッドクラスを制したクリスチャン・メルリのウルフ・オーロベイGB08よりも10秒9も上回って総合優勝を飾ることになった。

「スタートで何が起こったのかはわからない」と走行後にデュマは語った。「マシンは完全に勝手に停止してしまった。こんなことは今までになかった。パニックにはなっていない。すべての数字を見て、問題なさそうだった。自分でパワーサイクルを作ったら、突然また動くようになった」

「最初のスプリットで、自分が持っているタイムより26秒も遅いことがわかったから、『よし、プッシュすれば大丈夫だ』と思った。でも、かなりストレスだったと言わざるを得ない。パイクスピークに来てから今までで一番ストレスを感じたと思う」

 コロラドの山での電気駆動の主な利点は、空気が薄い高地でも性能が落ちないことにある。そのおかげで、デュマは山頂を登るにつれて順位を挽回した。しかし、彼のタイムは、フォードのスーパーバン4で記録した2023年のクラス優勝記録に6秒近く届かなかった。序盤のストップがなければ、F150ライトニング・スーパートラックはスーパーバン4よりも速かった可能性が高い。

 ソルドはヒョンデ・アイオニック5N TAスペックを駆り、トップから36秒遅れたが、エキシビションクラスでは記録的なタイムで優勝するとともに総合3位となっている。

 ソルドのマシンはアイオニック5Nをベースに大きなエアロを装着してパイクスピークのタイムアタック仕様に改造されたほか、ソフトウェアによるパワーアップを施されているが、基本的には市販車ベースとなる。彼は同じくヒョンデ・アイオニック5N TAスペックを駆るランディ・ポブストを25秒上回るタイムを記録し、電動改造カテゴリーのエキシビションクラスでの記録を樹立した。

 ソルドは次のように語った。「実のところ、この3位は予想外だった。ヒョンデ・アイオニック5 N TAスペックでの初参戦で表彰台に上れたことは、僕たちの予想を上回った。リスクを冒すことなくクリーンな走りをした」

「このマシンの開発に携わったチームにおめでとうと伝えたい。このマシンのおかげで、僕たちはより上位のカテゴリーに属する他のモデルを大きく引き離すことができた」