Raid2023/01/16

トヨタのアル-アッティーヤがダカール5勝目を達成

(c)RedBull Content Pool

(c)RedBull Content Pool

 2023年ダカール・ラリーは、トヨタGAZOOレーシングのナッサー・アル-アッティーヤ(トヨタGRハイラックスDKR T1+)が5度目の総合優勝を飾って2週間の戦いに幕を閉じた。

 サウジアラビアで開催された4回目のダカールラリーは、ナビゲーションも難しく、砂丘やタフなステージも増えたためここ数年では最も困難なイベントとなり、まるでクラシックのダカールが帰ってきたようだと称されることになった。そして、多くの有力ドライバーたちが試練に見舞われることになり、前半戦で勝利のチャンスを失うことになった。

 総合での初勝利に期待がかかったチーム・アウディ・スポーツ勢は第6ステージでステファン・ペテランセルとカルロス・サインツの2台のアウディ RS Q e-tron E2 T1-Uが相次いで同じ場所でクラッシュするという悪夢の展開となり、ペテランセルはナビゲーターのエドゥアール・ブーランジェは背骨を骨折したため続行を断念、かろうじて生き残ったサインツも第9ステージで2度目のクラッシュを喫し、マシンの修理を諦めてリタイアとなっている。

 また、バーレーンレイド・エクストリームチームのセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンターT1+)は岩の多い第2ステージで複数のパンクと難しい砂丘が続いた第5ステージのクラッシュで総合優勝争いから完全に脱落したが、中盤以降、6ステージ連続してステージ勝利を飾って2位まで追い上げたが、第3ステージ以降首位に立ったアル-アッティーヤは鉄壁の守りを崩さずにリードをキープ、1時間21分差をつけて最終日の短いステージを残すばかりとなった。

 アル・ホフフとダンマームの間に設けられた136kmの最終ステージでアル-アッティーヤは8番手のタイムでフィニッシュ、最終的に2位のローブに1時間20分49秒の差をつけて5度目のダカール優勝を飾ることになった。

 アル-アッティーヤは第6ステージで今大会最後となるステージ勝利を飾った時点で後続に1時間以上の差をつけることになったため、後半戦はミスのないように毎日をこなすことが課題だったとふり返った。

「ゴールを迎えることができてとても幸せだよ。誰にとっても難しいダカールだった。僕らは後半では狂ったように攻める必要はなかったが、ミスをしないように2週目を乗り切り、最後にダカールで優勝できたので素晴らしい気分だ」とアル-アッティーヤは語った。

 アル-アッティーヤはこの勝利でアリ・バタネンを抜く5勝目を飾ることになり、あとはペテランセルの8勝

「僕は5回優勝できてとても嬉しいし、マティユー(・ボーメル、ナビゲーター)は4回だったね。マティユー、ごめんね! そして、アリ(・バタネン)は今でも僕のアイドルなんだ。でも、いつももっともっと勝ちたいと思っている。さあ、あとは世界チャンピオンのタイトルを守ることを考えるよ」

 ローブは序盤のトラブルから立ち直り、ダカール史上最多となる6ステージ連続勝利を重ねる速さをみせたが、悲願の勝利にはまたもとどかなかった。

 総合3位にはオーバードライブ・レーシングのルーカス・モラエス(トヨタ・ハイラックスT1+)が入り、ダカール初参戦ながら大きなトラブルなく驚異的なパフォーマンスを示すことになった。

 4位にはジニール・ド・ビリエ(トヨタGRハイラックスDKR T1+)、5位にはヘンク・ラテガン(トヨタGRハイラックスDKR T1+)というトヨタGAZOOレーシングの2台が続き、トヨタ勢がトップ5のうち4台を占めることになった。

 GCKモータースポーツのゲラン・シシェリ(プロドライブ・ハンターT1+)は、第3ステージと最終日の第14ステージの2ステージで勝利して総合10位でフィニッシュしている。

 DTMで2度の王者を誇るマティアス・エクストローム(アウディ RS Q e-tron E2 T1-U)は、プロローグで1位を獲得した後、ダカールでの優勝争いから脱却し、唯一生き残ったアウディで13位でフィニッシュしている。