WRC2023/12/22

トヨタ育成プログラム3期生のドライバーが決定

(c)Toyota

 TOYOTA GAZOO Racingは、WRCで活躍できる日本人ドライバーの発掘・育成を目指すTGR WRCチャレンジプログラムの3期生セレクションの最終選考を12月7日から12月15日にかけてフィンランドで行い、後藤正太郎(中央左)と松下拓未(中央右)の2名が新しいドライバーとして選出され、2024年よりプログラムに参加することを発表した。

 3期生セレクションは2023年9月に富士スピードウェイで実施した1次選考、2次選考からスタート。フィンランドからプログラムの講師陣が来日し、約70名の応募者の中から6名が選ばれ、フィンランドでの最終選考へと至っている。

 フィンランドの北部、ラップランドで実施された最終選考はフィジカルテストから始まり、続く5日間のドライビングテストでは様々な車両を使用し、候補者たちの運転スキルとポテンシャルが測られている。

 候補者たちはスノー及び氷上での運転経験はほとんどなかったにもかかわらず、全員が講師陣の予想を超える高いレベルのドライビング能力を発揮し、講師陣にとっては難しい選択となったが、世界のトップレベルのドライバーになれる可能性が最も高いとして、最終的に後藤と松下の2名が選ばれている。

 両選手はラリードライバーとしては初心者であり、2024年1月より早速トレーニングを開始する。冬の間は走行、ペースノート、フィットネスなど包括的なトレーニングからスタートし、春以降は拠点をフィンランドに移し、実戦に向けてフルタイムでのトレーニングに移行する。そして、夏以降に前輪駆動のRally4車両でフィンランドや欧州の国内ラリーへ参戦することが最初の目標となる。

 プログラムの1期生として2015年から活動をしてきた勝田貴元は、すでにWRCで複数回表彰台を達成しており、2024年はレギュラードライバーとしてフルシーズンを戦うことが決まっている。また、2期生の小暮ひかると山本雄紀は2024年はこれまでのRally4車両からRally2車両での参戦へステップアップをすることになっている。後藤、松下の両選手は、先輩たちからも学びながらトップドライバーへの成長を目指す。

 チーフインストラクターを務めるミッコ・ヒルボネンは3期生セレクションについて次のように総評している。

「プログラムのドライバー選考は3度目でしたが、今回やっと、経験に関わらず興味を持ってくれている全ての候補者に門戸を広げるという、我々そしてTGRがやりたかった方法で実施できた。(これまでは1次は書類選考だったが)今回は、応募してくれた全員に富士スピードウェイで走ってもらった上で、上位だったドライバーたちにフィンランドの最終選考に来てもらった。モータースポーツや運転の経験がとても短いドライバーもいて、氷上での走行は予想がつかないものだったが、グループ全体のレベルの高さに良い意味でとても驚かされた」

「後藤は大学の自動車部で、実際の運転は約2年の経験しかないとのことだったが、我々講師のアドバイスに従ってドライビングをアジャストできる能力が素晴らしく、今回のテストの間だけでもかなり成長した。松下は、ラリーはこれまで1度出たことがあるだけだったが、メカニカルな部分の理解が非常に深く、異なる駆動方式の車両も全てすぐに良いレベルで乗りこなした。両者とも競技経験は少ないものの、非常に良いドライバーで、彼らとトレーニングできるのが楽しみにしている。これからプログラムが始まり、特にラリーで重要なペースノートのトレーニングが大変になりますが、すぐに良いレベルに到達できると確信している」

後藤正太郎:「このプログラムに参加できることになりとても幸せです。初めてのラリーカーでしたし、自分は他のドライバーより学びが遅いように感じたりもして、精神的にもタフな1週間だったので、選ばれたときは本当に嬉しかったです。自分のモチベーションは常に、より良いドライバーになり続けるということだったので、素晴らしい環境でそれを実現できる機会を与えていただき、これからがとても楽しみです。自分のように小さい時からモータースポーツをしてこなかった人にもモータースポーツの世界に入るチャンスを与えてもらえる、人生を変えてくれるプログラムだと思っています」

松下拓未:「チャレンジプログラムのドライバーに選ばれることができてとても嬉しく、ホッとしています。メンバーの一員として、TGRの皆さん、先輩である勝田さんや山本さん、小暮さんと一緒に活動ができることがとても楽しみです。ラップランドでの走行セッションではたくさんのことを学び、特に大きな学びは左足ブレーキと、ステアリングではなくブレーキとアクセルで車をコントロールするということでした。このような大きなチャレンジの機会を与えていただきとても感謝しています。ラリーの経験は少ないので、トレーニングをたくさんして早くラリーに出られるように頑張ります」