ERC2023/08/21

パッドンERC初栄冠、コペツキ12回目のチェコ優勝

(c)Hayden Paddon

(c)RedBull Content Pool

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 ニュージーランド出身のヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)は、バルム・チェコ・ラリー・ズリーンの最終日にサスペンションを壊してリタイアとなったものの、彼のタイトルをただ一人防ぐ可能性をもっていたマーティンシュ・セスクス(シュコダ・ファビアRS Rally2)が12位に終わったため、FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の栄冠に輝くことになった。

 パッドンは5位で迎えた最終日、SS10ハレンコビツェ・ステージでコースオフ、右リヤサスペンションを破損してマシンを止めることになった。それでも彼とコドライバーのジョン・ケナードは続行を諦めず、吹き飛んだホイールとサスペンションを拾い集めて応急修理を行ってゴールを目指したが、残念ながらタイムアウトとなってしまった。

 パッドンがこの週末のうちにタイトルを獲得できるかどうかは、選手権2位につけるセスクスの順位に委ねられることになった。それでも初挑戦のズリーンでセスクスは12位に終わり20ポイント以上獲得できなかったことから、昨年のFIAアジア-パシフィック・ラリー選手権に続くパッドンの2度目のFIAチャンピオンが確定することになった。

「ダートが出ている連続するコーナーで、右コーナーはスピードを落としすぎたから、思ったよりグリップが高いと思って左コーナーをプッシュしたんだ!それで残念なことに僕らのラリーは終わってしまった」

「それでも全体として、今シーズンの結果にはとても満足している。このようなミスを犯す可能性のあるところでハードワークをこなさなければならないし、今年は多くのことを学んできたので、来年に向けてプログラムを組み、この経験を生かしてスピードをつけることができればいい。僕らにはやり残したことがある。今年はタイトルを獲得したが、来年こそはラリーで優勝するんだ!」

 バルム・チェコ・ラリーで優勝を飾ったのは、今年もチェコ出身のヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアRS Rally2)だった。

 ハンガリーのミクローシュ・チョモス(シュコダ・ファビアRally2エボ)に14.9秒差をつけて最終日を迎えたコペツキは、オープニングのSS8セメティンやSS9ピンデューラのステージは狭くトリッキーなことからややペースを抑え気味だったため、チョモスに10秒差まで迫られることになったが、朝のループの最後のステージとして行われたSS10ハレンコヴィツェでバルム・チェコ・ラリーで通算100度目のステージウィンを獲得、さらにSS11セメティンでも連続してベストタイムを奪ってチョモスに14.7秒差をつけて突き放すことに成功する。

 コペツキは残されたステージではペースをコントロール、最終的にチョモスに14.3秒差を付けてバルム・チェコ・ラリーで8連勝、通算12回目の勝利(ERCでは11回目)を飾ることになった。

「今日は父の誕生日で、3日後には息子の誕生日なんだ。難しいラリーだったし、とても疲れた」とコペツキは語った。

「朝のステージでは序盤ではマシンが少し硬すぎて、リアが跳ねていたんだ。でも午後は完璧になった。それでも最後の1つ前のステージでは最初の左コーナーで何かにぶつかってパンクしたかと思った。幸いパンクはしなかったが、最後まで難しいラリーだったので、とても幸せだよ」

 チョモスは、コペツキには届かなかったが2位でフィニッシュ、ERC初表彰台を獲得するとともに母国で行われる次戦のラリー・ハンガリーに向けて弾みをつけている。

 3位をめぐる激しいバトルは終盤までわからないものとなった。最終ステージの一つ前のステージで地元のアダム・ブジェジーク(シュコダ・ファビアRally2エボ)が2番手タイムで3位に浮上したものの、オーストリア王者のシモン・ワグナー(シュコダ・ファビアRS Rally2)が最後のパワーステージを制して2.9秒差でブジェジークを逆転して3位となっている。

 4位には地元のフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアRally2エボ)、5位にはドミニク・ストジーテスキ(シュコダ・ファビアR5)が続き、地元期待エリック・ツァイス(シュコダ・ファビアRS Rally2)は初日のパンクによって優勝争いからは脱落、13位まで後退したものの、最終日も2つのステージでベストタイムを奪って7位まで追い上げてフィニッシュしている。

 ERC3は昨年のチャンピオンであるポーランドのイゴール・ウィドワック(フォード・フィエスタRally3)が1年ぶりの復帰戦で優勝を飾っている。ERCジュニアは、ティモ・シュルツ(オペル・コルサRally4)がリード、2位につけていたマックス・マクレー(オペル・コルサRally4)はSS12のクラッシュでリタイアに終わっている。

 ERC最終戦のラリー・ハンガリーは10月7〜8日行われる。