ヒョンデ・モータースポーツのチーム代表を務めるシリル・アビテブールは、今季のチャンピオンシップが良いスタートを切ってないことを認めつつも、チームのマシンとドライバーのパフォーマンスは高く、この状況を変えると信じている。
昨年のマニュファクチャラー選手権のタイトル争いは、最終戦のラリー・ジャパンにおける劇的なクライマックスの末にわずか3ポイント差でトヨタGAZOOレーシングWRTが栄冠に輝くことになった。しかし、トヨタは今季の開幕戦ラリー・モンテカルロで1-2フィニッシュでシーズンをスタートし、さらに先週末のラリー・スウェーデンでもエルフィン・エヴァンスと勝田貴元が1-2勝利を果たし、開幕2ラウンドとも連続してその週末の最大ポイントを獲得したことでヒョンデに48ポイントという圧倒的なリードを築くことになった。
しかし、アビテブールは、この状況はチームの失策やドライバーのミスに原因があるわけではなくあまり心配していない。
「モンテカルロ同様、スウェーデンでも週末を通して接戦が続いたが、残念ながら良い結果ではなかった。それでもチームのドライバーたちが見せたペースは、間違いなく、チーム全体が今後力を発揮する兆しだと言えるものだ」とアビテブールは総括した。
ティエリー・ヌーヴィはハンコックのグリップに苦しみながらもチームメイトのオイット・タナクと3位を争った末に3位となっている。タナクは金曜日をトップで終えたが、エンジンマップの不調やフロントガラスを漏れた冷却液が汚す問題で表彰台圏外にこぼれてしまっており、その純粋なパフォーマンスではけっしてトヨタ勢に劣っているわけではなかった。
また、アドリアン・フールモーもヘルメットの装着ミスとそのことでフラストレーションを感じていたため、ミスを補おうと必死になりすぎて、残念ながらマシンのコントロールを失ってしまったが、それまでは優勝を争う5人のドライバーの一人だった。
「ティエリーはスタートがかなり遅かったが、自信とペースをつけて表彰台まで戦い抜いた。オイットがクーラント・リザーバーの問題でパフォーマンスに影響を受けて首位から遠ざかってしまったのは残念だった。アドリアンも残念なリタイアはあったが、それまでに彼がみせていたペースは今後に向けて自信となるものだ」
「全体的に見て、スウェーデンの結果は、チャンピオンシップがチームにとって良い形でスタートしていないことを意味しているが、状況を好転させるために大きな改善は必要ないことは明らかだ。サファリ・ラリー・ケニアを皮切りに、クリーンなラリーに集中する必要がある。これは、昨年よりも良い成績を収める絶好の機会となるはずだ」とアビテブールは述べている。
ヒョンデはスウェーデンでアップデート仕様のi20 N Rally1を投入したが、このアップデートが成功したのかどうかについての判断は今年の後半に向けてのラリーで明らかになるはずだと語っている。
「私は言い訳を良しとするような人間ではない。でも、我々としては、そのような変更をここで、雪で走るためにデザインしたわけではない」とアビテブールは語っている。
「グラベルやターマックの一部、特にスムーズなグラベルという、これから直面するコンディションを想定してやってきた。だから、申し訳ないが、フィンランド、チリでまたそれを私に質問してくれないか。きっとそうしてくれるよね。そこで話をしよう、そのために施した変更だからね。ここではタイヤによる状況の変化もあったし、それは今我々が、マスターできていないことでもあるからね」