ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第4戦ラリー・ハンガリーは、トップカーズ・ラリーチームから今季初ラリーに挑んだアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRally2エボ)が2分もの大差を築いて優勝を飾っている。ミケルセンにとっては昨年末のモンツァ・ラリーショー以来、ほぼ1年ぶりの実戦となったが、以前のコドライバーだったオラ・フローネとのコンビを復活させて臨んだハンガリーでERC初勝利を遂げることになった。
ラリー・ハンガリーの初日、首位争いを演じていた選手権リーダーのアレクセイ・ルクヤヌク(シトロエンC3 R5)がタイムコントロールに早着するミスによって5分ものペナルティを科せられたため、ミケルセンは2位のつけるチームMFタイヤのクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20 R5)に対して23.6秒という大きなマージンを持って最終日をスタートすることになった。
ブリーンは、2本のスペアタイヤを搭載して、勝利を狙うのではなく慎重なアプローチで2位をキープすることを狙ったが、SS13クカプ・ステージの残りわずか3km地点でエンジントラブルに見舞われ、その期待は裏切られてしまった。
「警告はほとんどなかったが、警告があった時には、すでにダメージは終わっていたと思う。エンジンは完全に壊れていたし、これ以上どうすることもできなかったよ」とブリーンは心底がっかりした様子で語った。
ブリーンのリタイアによって2位にはヒュンダイ・ジュニア・ドライバーのグレゴワール・ムンスター(ヒュンダイi20 R5)が浮上することになったが、首位のミケルセンとの差は1分半以上に広がっている。
ミケルセンは残りのステージでは大きくペースをダウン、ラリー・ハンガリーで勝利を飾ることになった。
「2020年は無敗だ! ここ数年、ターマックでの走行は僕にとって本当に難しかった。ここに来られてよかったよ。僕を呼んでくれたチームに感謝したい。 大きなリスクを冒さずに巧妙な戦略を実行したが、それでも楽しかったよ」とミケルセンはフィニッシュラインで語っている。
ムンスターはキャリア最高のERCでの2位を獲得、ERC1ジュニア・カテゴリーでも重要な勝利を収め、オリヴァー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRally2エボ)に1ポイント差をつけてERC1ジュニアの選手権リーダーに浮上することになった。
ソルベルグは総合3位につけていたが、土曜日の午後、2回のパンクで9位まで後退、最終日に激しい追い上げ、最終ステージでニコラス・マイヤー-メルンホフ(フォード・フィエスタRally2)を抜いて4位に浮上、昨年のERC3ジュニア王者であるエフレン・ヤレナ(シトロエンC3 R5)にも迫ったが、表彰台には4.5秒届かなかった。
ソルベルグの4位はタイトル争いでのルクヤヌクとの差を42ポイント差から26ポイント差へと縮めるのに役立ったが、2度のパンクによってルクヤヌクの悪夢のようなラリーを十分に生かすことはできなかった。
ルクヤヌクは5分のペナルティによってトップ10圏内を逃して14位でフィニッシュすることになったが、王者の意地を見せるようにレグ最速のボーナス5ポイントを加えることに成功している。
「このレグは勝利したので、ミッションは完了したよ。危機管理はもちろん学ぶべきことであり、もっと速くなる可能性があることがわかった。全体としては、スピードと一貫性に集中しようとしていたし、いい感じだったよ」とルクヤヌクは語っている。
4度のハンガリー・チャンピオンであるノルベルト・ヘルチグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)は母国での表彰台を目前にして最終ステージで不運なパンクに見舞われて6位に終わっている。
アイルランド・ラリーアカデミーの支援を受けるカラム・ディヴァイン(ヒュンダイi20 R5)が7位、SS2でのスタックで40位まで後退したチェコの新星エリック・ツアイス(フォード・フィエスタRally2)は期待に違わぬ速さをみせて8位まで追い上げてみせた。最終日にツアイスを上回る速さをみせたのは、ルクヤヌクとソルベルグだけだった。
ERC2では、地元のヒーローであるティボール・エルディJr(三菱ランサーエボリューション)がゼリンド・メレガリ(スバルWRX STI)に6分もの大差をつけて3連勝を飾っている。また、ERC3ジュニアではケン・トルン(フォード・フィエスタRally4)が終盤でふたたびパンクしたにもかかわらず、首位を守ってフィニッシュ、選手権のリードをキープしている。