WRC2020/01/25

モンテ2日目、新生トヨタが1-2態勢

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 2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)開幕戦ラリー・モンテカルロは、DAY2の行程を終え、トヨタGAZOOレーシングWRTのセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が首位。エルフィン・エヴァンス(トヨタ・ヤリスWRC)が1.2秒差で続き、トヨタは1-2態勢でラリーをリードしている。

 24日金曜日、ラリーはいよいよ本格的なマウンテンサーキットでの競技が始まる。20.02kmのキュルバン〜ヴァントロル、20.68 kmのサン・クレマン〜フリシニエール、20.59kmのアヴァンソン〜ノートル・ダム・デュ・ローの3つのステージをサービスを挟んで2度ループするスケジュールだ。

 朝8時の時点で、ギャップの天候は曇り。気温は3度と比較的暖かい。朝のループに向けて選んだタイヤは、ヌーヴィル、オジエ、ロヴァンペラ、エヴァンス、ラッピ、スニネン、グリーンスミスがソフト4本+スーパーソフト2本、ローブがスーパーソフト4本+ソフト2本、タナクがソフト3本+スーパーソフト3本となっている。

 SS3キュルバン〜ヴァントロルは、上り下りのヘアピンコーナーが多く、道幅が狭い。気温は高く、アイスが溶け出しているコーナーが多く、路面はほぼウェットの状態だ。前日首位発進したヌーヴィルが、全域が凍結したコーナーでブレーキが間に合わずマシンがスライド。一度ストップするシーンが見られたものの、どうにか首位をキープしている。ベストタイムを記録して2位浮上を果たしたエヴァンスとのタイム差は10.3秒。ヌーヴィルと同じく凍結したコーナーでスライドしてバンクにヒットしたオジエが4番手タイムで3位、同じくここでコースオフしかけたオイット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)は3番手タイムで4位につけている。後方でも13位でこの日をスタートしていたグリーンスミスがこのコーナーでスピン、切り返しにミスしてコースオフ、ディッチに落ちてリタイアとなっている。

 SS4サン・クレマン〜フリシニエールは、新たに採用されたステージでラリー前から勝負の行方を左右するかもしれないと予想されていた。そして最初のドラマがここで起きた。スタートから9.2kmの地点、下りの高速右コーナーで、タナクはインカットした際に姿勢を乱し、続く緩い左コーナーのアウト側からコースオフ。160km/hオーバーで走行していたマシンは横転しながら斜面を転がり落ちて崖下でストップ。幸いクルーにはケガはなかったが、昨年のチャンピオンはここでリタイアすることになった。

 このステージでベストタイムを刻んだのはエヴァンス。タナクがリタイアしたセクションでスローダウンしてタイムをロスしたヌーヴィルを捉え、3.4秒差のトップに立つ。

 エヴァンスの勢いは止まらない。続くSS5でも3連続となるベストタイムを刻んでヌーヴィルとの差を8.9秒まで広げて見せた。「ここまではいい感じで来ている。クルマの感触もいいし、タイヤ選択も正解だった。それに関しては本当にチームのおかげだ。ここまでグレートだ」とコメント。一方のヌーヴィルは「トリッキーなコンディションだった。グラベルクルーが見た時よりも道がずっとスリッパリーな状態になっている」と焦りを隠せない。ヌーヴィルの背後、0.8秒差には「まだまだ先は長い。僕はまだこのクルマのことを学んでいるところで、限界を見極める必要がある」と語るオジエが迫っている。

 4位にはセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)、5位はリズムを掴むのに苦労している様子のエサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)が続き、6位に「ミスなくここに居ることができてうれしい。でももっと速く走れるようになりたいと思う。僕たちにとってはいい勉強になる」と語るカッレ・ロヴァンペッラ(トヨタ・ヤリスWRC)。勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)も安全マージンを取りながらWRカーでの経験を積むことに集中していながらも7位までポジションを上げてきた。

 サービスを挟んで午後のループは、午前中の走行でコース上に掻き出された泥によってコンディションが悪化することが懸念された。コースはほぼウエットで、日陰となる左コーナーの凍結も走行ラインのアイスは溶けたものの依然として滑りやすく注意が必要だ。各車のタイヤ選択は、エヴァンス、ヌーヴィル、ローブ、スニネン、ラッピがスーパーソフト4本+ソフト2本、ロヴァンペラ、勝田がスーパーソフト6本、オジエがスーパーソフト5本+ソフト1本を選択し、午後のループに臨む。

 SS6、2回目のキュルバン〜ヴァントロルで、オジエがスパートを掛けた。ヌーヴィルを抜き去り、さらにディッチに嵌ってフロント右ホイールを曲げ、タイムロスしたエヴァンスに3.3秒差に迫る。オジエは概ねドライコンディションとなったSS7でもベストタイムを刻んでエヴァンスとの差を2.7秒に縮める。

 SS8、オジエはセカンドベストを記録して首位に浮上。エヴァンスとのタイム差は1.2秒となる。ここでベストタイムを奪ったのはヌーヴィル。ラリースタート直前でアイスノートクルーのブルーノ・ティリーがインフルエンザに罹り、代役を務めたダニ・ソルドとの連携がうまく行かず攻めきれなかったという彼は、ようやく調子を取り戻したようだ。

 DAY2を終えて、首位オジエ、2位にエヴァンスがつけトヨタは1-2態勢を築く。復調の兆しを見せるヌーヴィルが3位。1分余り遅れてローブが4位。5位ラッピ、6位ロヴァンペッラ、7位勝田という順位になっている。

 ラリー・モンテカルロのDAY3は、ギャップ北部のサン・レジェ・レ・メレーズ〜ラ・バティ・ヌーヴ(16.87km)と東部に位置するラ・ブレオル〜セロネ(20.73km)のステージをサービスを挟んで2回走行した後、モナコへ向けて245kmを移動する行程となっている。