WRC2024/03/02

ラトバラ、Rally1カーの変革に困惑

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラは、FIAの新しい世界ラリー選手権のガイドラインはまだ変更される可能性があると主張している。

 FIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は水曜日、WRCの将来についていくつかの大きな決定を下した。このガイドラインには、2022年にWRCのトップカテゴリーに導入されたRally1カーのハイブリッドユニットを今シーズン終了後に廃止するというサプライズな決定も含まれている。

 FIAの狙いは、Rally1マシンの価格を下げ、その他のコストを削減することで、近い将来、新たな自動車メーカーやチームを選手権に呼び込むことだが、ラトバラ代表は改革の方針への理解を示しつつも、微調整が必要だと語っている。

「全体として、良い点もいくつかある。とくに良い点は、ガイドラインと決定事項ができ、それらが議論されてきたことだ。しかし、これらの方針が完全に前進するとは思えない。微調整が必要だ」とラトバラ代表は、フィンランド・メディアの『Ralliit.fi』に対して語っている。

 2025年、Rally1カーからハイブリッドが外させるとともに、エアリストリクターが小径化、エアロがさらに簡素化され、そのパフォーマンスが下げられる計画だが、ラトバラはそう簡単な作業ではないと語っている。

「ハイブリッドユニットを外すことは、コストを下げるための賢明な解決策だろう。しかし、同時にリストリクターも変更することは、マニュファクチャラーが望んだことではないと思う。クルマをテストしなければならないから、またコストが上がるはずだ」

「スロットルボディの違いによってエンジン性能を最適化しなければならない。それに、エアロダイナミクスを減らすと、それがクルマにどう影響するのか?それらは不必要なことだったと思う。ハイブリッドを外しただけなら、パフォーマンスはすぐにキロあたり0.2秒落ちるだろう。車重も軽くなるだろうから」

 FIAによれば、さらに2026年からRally1カーについては新しい技術規則が導入され、エンジンのパワーを330馬力まで落とし、現行のRally2マシンに技術を近づけることを目指し、マシンの価格上限は40万ユーロが予定すると説明されている。

 また、FIAの資料には、「2026年から新レギュレーションのRally1カーは、現行の(2025年型)Rally1カー規定と並行して導入される」と記載されているが、それ以上の詳細は明らかにされていない。

 このことから、2026年に新しいRally1カーを開発することは義務ではなく、チームは2025年と同じマシンで活動できると解釈することができる。しかし、それは本当かどうか、ラトバラはまだ完全には確信していない。

「まだFIAと新しい方針について話し合う時間がない。私たちがこれを受け取ったのは来たのは前日のことで、近いうちに話し合うつもりだった。しかし、私の理解では、(2025年の)ルールは(2026年も)継続でき、新しいルールは並行して導入されることになる」とラトバラは説明する。

 ラトバラによると、少なくともトヨタは2026年に向けてマシンを作り直す計画はないという。

「それはあっという間にやってくる。(次のルールセットとして)想定されていたのは2027年であり、我々はその年に向けて新しいマシンをつくるつもりでいたからだ」

 ラトバラは、上限40万ユーロのコストで2027年用のRally1カーが作れるかどうかについては、少し懐疑的だ。おまけに「ラリーのゴールした直後に買い手がつけばこの金額で売却する義務がある」というルールはさらに彼の頭を混乱させている。

「現在のマシンは非常に高価で、高すぎるとさえ言われている。Rally2の車両価格が30万ユーロ程度だとすると、Rally1の車両で40万ユーロにするのは・・・すぐには無理だろう。目標価格が50万ユーロ程度なら、もう少し現実的かもしれない。おまけに40万ユーロの価格で、ラリー後にパルクフェルメですぐに売らなければならないとしたら、そのルールは理解できない」