WRC2023/11/20

ラリー・ジャパン競技長にけん責処分

(c)WRC Promoter

 ラリー・ジャパンのクラーク・オブ・ザ・コースを務めた高桑春雄競技長は安全を確認せずにSS9ヌカタ・フォレストをスタートしたと判断され、けん責処分を受けた。

 ティエリー・ヌーヴィルは一番手の走行ポジションで土曜日の最初のステージであるSS9を当初のスタート時刻より5分遅れでスタート、道路脇に駐車していたゼロカーに出くわしてマシンを止めることになった。

 これによりステージは赤旗中断となり、ヌーヴィル、勝田貴元、オイット・タナク、エサペッカ・ラッピの走行が中断された。FIAは最初の調査を開始し、土曜日の午後4時にスチュワードがクラーク・オブ・ザ・コースにヒアリングを行なった結果、ゼロカーが危険な場所にいた観客に移動を促すためにコース上に車両を止めていたことがステージ中断の原因となったと夜になってメディアに向けて説明している。

 スチュワードは日曜日の午後、こうした調査に基づき、クラーク・オブ・ザ・コースは、安全でない状況において合理的な措置を取らなかったとして、FIAの2023年国際競技規則第12条2.1.hに違反したとみなしてけん責処分を課している。

 スチュワードの決定は以下の通り。「クラーク・オブ・ザ・コースが安全であることを確認せずにステージをスタートさせたため、深刻で危険な状況が発生した」

「これは主に、ゼロカーが事前に3回にわたって行われた安全ブリーフィングで示された指示のひとつである、スタート地点から離れた後はステージ上に停車しないという指示に従わなかったことが原因である」

 もしセーフティカーがコースの危険な場所にいる観客を発見し、観客が移動命令に従わなかった場合、クラーク・オブ・ザ・コースは、ステージの安全が確認されるまでスタートを遅らせか、安全が確認できなければステージをキャンセルしなければならない。

 しかし、クラーク・オブ・ザ・コースは、「ステージコマンダーからの報告でゼロカーAがステージ開始前に退去したと報告を受けていたが、これが情報のやりとりのミスがあったための誤った事実だった」と認め、「ゼロカーAが安全な位置に移動し、ステージを開始するための準備が全て整っていると思い込んでいた」とスチュワードに証言している。

 ゼロカーAのクルーは、スチュワードの聴き取りにおいて、「コースで発見した無許可の人物を排除しなければならないという事実をラリー本部に報告するための無線が使えなかった」と述べるとともに、「二人は責任感のためにコース上に留まって観客の排除を行うことに努め、自分たちがステージから安全な場所へ退避するまでは、ステージは開始されないモノだと思っていた」と証言している。

 クラーク・オブ・ザ・コースは、「ゼロカーAのクルーがその場のとっさの判断で不適切な行動をとったことを認め、その全責任を負うことを申し出た。

 こうしたことからスチュワードは、「無線通信が地形の制限により不可能であり、ゼロカーAのクルーが正義感ゆえに指示に従わなかったことを考慮しながらも、クラーク・オブ・ザ・コースはステージをスタートする前に、ゼロカーがどこにいるかを適切にチェックすることを怠った」として当該のインシデントは充分に深刻な性質のものであると判断、けん責処分を科すと同時に、この件はFIA WRC委員会に報告され、適切と判断された場合にはさらなる処分が下すことになると発表している。