WRC2024/02/19

ラリー後会見:スノーバンクが僕らの味方になった

(c)Hyundai

(c)Toyota

(c)M-Sport

―エサペッカ、2017年に母国フィンランドで勝利して以来6年ぶりの勝利です。長く待ち望んだ瞬間が、ここスウェーデンの雪の上でやってきました。今の気分はいかがですか?

エサペッカ・ラッピ:「シャンパンがとても美味しかった。とてもいい気分だ、最高だよ。僕の人生がこの勝利によってガラッと変わるようなことはないだろうけど、ここにいるすべてのドライバーが勝利を目指していて、僕たちがそれを達成できたことは最高の気分だ」

―さまざまなコンディションに見舞われた難しい週末でしたね。金曜日は雪が降って大変でした。今日はコンディションが良かったですが、競争面ではどうでしたか?あなたは何度か、コンディションのせいでプッシュできず少し遅いと話していました。

ラッピ:「そうだね、路面コンディションのせいでペースが落ちたのは金曜日の午後だけだったと思うが、そのあとプッシュ出来たのは2つか3つのステージだけで、残りは路面コンディションと全体の状況的に多かれ少なかれプッシュできなかった。すべてのドライバーが知っていることだが、プッシュできない時はあまり楽しくはない。でも、また勝てるのであれば、ドライビングをあまり楽しめなかったとしても、それはそれとして受け止めることができる」

―多くのファンが来てくれました。あなたにとって、ここスウェーデンはどのような経験でしたか?

ラッピ:「ここに来るのはいつも嬉しいことだ。まずフィンランドにとても近いし、文化も似ている。ここではいつもたくさんの雪があるという保証がある。レッキ初日の朝は今日のように晴れていたから、すでにいい雰囲気に包まれていた。とても美しくてよかったが、水曜日には降雪があり、金曜日は降雪のせいでとても厳しかった。でも最終的には、素晴らしいラリーだったと思う。エンターテインメント性という点では、リタイアが多すぎたのは確かだ。もう少し多くのドライバーが上位を競っていれば、もっと面白くなったかもしれない。しかし、スノーバンクは味方にも敵にもなり得る。そして今週末、彼らは僕の味方だった。僕は彼らにたくさん報酬を支払ったからね(笑)」

―良いジョークですね(笑)。コドライバーのヤンネに話を聞きましょう。ヤンネ、表彰台の一番上に戻ってきた気分はどうですか?

ヤンネ・フェルム:「ああ、日曜日としてはリーズナブルだった(笑)」

―控えめな表現ですね?ええ、かなりリーズナブルな日曜日でした!今週末の感想を聞かせてください。どうでしたか?

フェルム:「ラッピがすでに話したように、いろいろなことが起きたラリーだった。昨日の朝、勝田がコースアウトしたことで、僕たちにとっては勝利を確実に持ち帰るための長い週末になった。ラッピは良い仕事をし、今、僕たちはここにいる。まあリーズナブルな日曜日だったよ」

―これがリーズナブルな日曜日だとしたら、本当に素晴らしい日曜日とはどういうものか知りたいですね。

ラッピ:「それは今日これからだよ(笑)」

―なるほど、この後のお楽しみというわけですね! ヤンネ、大きなリードを築き、ステージを無事に通過しなければならない時、そのこと自体がプレッシャーになり、リード争いをしている時よりも悪くなることさえあると話していましたね。

フェルム:「ああ、ラリーではいつもそうだ。勝利と完全な敗北の間は紙一重なんだ。そして今、なんとかこれを達成できた。長い26時間だった」

ラッピ:「一点だけ・・・。彼が眼鏡をかけたのはこのラリーが初めてなんだ」

―本当ですか?

ラッピ:「ああ。ペースノートをすべて読み上げてもらえたのは、これが初めてだ!」

―6年間です!最後の勝利から、6年間。彼に必要なのは眼鏡だったのですか?

ラッピ:「その通り」

フェルム:「僕は常に当てずっぽうだった(笑)」

―その眼鏡を絶対に手放してはいけませんよ。

―エルフィン、2位を獲得し、日曜日に良いポイントを得ました。今週末はあなたにとってとても上手くいきましたね。満足していますか。

エルフィン・エヴァンス:「そうだね、金曜日の時点ではあまり良く思えなかった。僕たちは雪に文句を言っていたし、トリッキーだった。だから今週末にはあまり期待していなかった。正直に言って出走順も良くなかったし、マシンのフィーリングはアークティック・ラリーの前と比べて良くなってはいたが、僕たちが望むところまではいっていなかった。だから今週末はあまり楽観的ではなかったが、こういう結果になり、最終的には、彼らが言ったように、まあまあリーズナブル、満足できる結果だ」

―金曜日は、今のような順位になるとは思っていなかったとおっしゃっていましたね。その時点では、もう希望が無いと感じていましたか?

エヴァンス:「その時点では、必ずしもそうではなかった。予想もしていなかったようなリタイアが多くあったからね。少し驚いたが、コンディションは確かに厳しいものだった。僕たち自身、怖い思いもしたが、軽傷で済んだのは幸運だった。でも、エサペッカが言っていたように、スノーバンクはその時点では僕にも優しかったんだ。そして生き延びて良い出走順につけてからは、何が可能か試してみなければならなかった。このコンディションの中でのペースとしては良かったが、週末のパフォーマンスにはまだ満足していない」

―では次は、今週末のパフォーマンスに十分満足していると思われる方にお話を聞きたいと思います、このラリー・スウェーデンでWRC初表彰台を獲得したアドリアン・フールモーです。この特別な瞬間ですね、自分にとても満足しているのではないですか?

アドリアン・フールモー:「本当に本当にいい週末だったよ。昨日はエルフィンと本当にいい戦いができたしね。自分で本当に良くやったと思っているし、その中でもいちばんは、エルフィンの前で彼を抑えることができたということだ。彼は僕たちに追いつくために相当にプッシュする必要があったし、昨日は2位をキープするのに本当に頑張った。だから僕たちが雪の上であれだけの走りができたことに本当に満足している。あまり機会も少ないし、1年に1回しかない貴重なイベントだからね。本当に嬉しいよ、初めての表彰台だし、たくさんの観客が集まっていて本当に楽しい、ステージもみな素晴らしかった。金曜日は本当にトリッキーなコンディションだったけど、今日は素晴らかった、さまざまなコンディションを体感できた、フルフィールドのイベントだった」

―今日にどれくらい緊張して臨みましたか? 3位というポジションにいるわけで、それでまだまだ厳しい今日のコンディションでした。多くのドライバーがスノーバンクに接触しているのを見ました。この日をなんとしても走り切らなくてならないと分かっている、緊張でお腹がいたくなるようなことはなかったですか?

フールモー:「僕は教習所で運転をしているような感じかな。時々クルマの走らせ方が分からないような気がして、時々、まあいいやまた戻っているんだ、ってなったりして。で、またそうではないことは分かっていて、確かにプレッシャーはあったけど、それをなんとか忘れるようにして、ドライビングだけに集中するようにしたんだ」

―素晴らしい瞬間を味わえたことと思います。アドリアン、今夜はお祝い、ですね?

フールモー:「そうだね、ストックホルムで!」

―では、今度シリル・アビテブールのお話に移りたいと思います。ここスウェーデンでは素晴らし週末になりました。エサペッカとヤンネです、限定参戦の今シーズン最初のラリーで優勝です。彼らにとってこれ以上のことはないですね、そしてあなたにとっても?

シリル・アビテブール:「リーズナブルな、日曜日だった(笑)、これ以上にない、そしてリーズナブルな週末、リーズナブルなシーズンのスタートとなった。だから、すべてがとてもリーズナブルで、でも、ラリーをやるということは、リーズナブルであること以外のすべてだ。いずれにせよ、本当にメガなことだ。彼にとっては本当に待ちに待った長い時間だった。6年間、そして我々にとってのこの2日間はその6年間のようだった。サードカーを考える上でロードポジションは一つの要因だが、ここでは有利なポジションでことは分かっていたし、それが実際助けにはなっている。でも同様にEPがここまでくるためにしてきたこと、数々の困難を乗り越えてきたことは極めて大きいし、またいつものように、優秀なクルーとチームによる最高のサポートがあってこそだ。そうだね、素晴らしいことであると同時にまた、やるべき仕事を過小評価してはいけない。というのも、ゴールしてなお、現実に引き戻された。今朝のトヨタのことだ。オープニングステージでの彼らのペースは明らかに別物だったということだ。今回は本当に良かった、でもまだまだやるべきことはたくさんあるんだ」

―プレッシャーをかけるつもりはないですが、今シーズンここまで2連勝です。次はこれまでとは違った時期での最大のチャンレンジの1つとなるサファリ・ラリーですが、ハットトリックは達成できそうですか?

アビテブール:「そうだね、そのために努力はしてきたが、すぐにケニアをコントロールすることなんてできない、2勝したから3勝目もいけるだろうなんて、そんなうまくいくものではない。まあ確かになかなか興味深い挑戦にはなる。クルマは昨年のケニアよりも良くなっていると思う。今回も強力なラインナップが揃うし、EPがまた走ることになる。そうそう、ヤンネ、メガネを忘れないようにね! そして今、我々は前を向き、すでにすべてをチャンスとして捉えて楽しみにしている、昨年のようにね。ヤンネは本当に賢明な男だが、彼も言っていたように、成功と完全な失敗は紙一重だということだ。今回、我々は正しい方向に進むことができた。それを再び再現させることができるかどうかは自分たち次第だ。でもそれは小さなこと、些細なこと細かな部分だったりする。だからこうした細部までしっかりとやり遂げられることは間違いないと思うし、シーズンの終盤に大きな違いを生むことになるだろう」