ヒュンダイ・ジュニア・ドライバーのピエール-ルイ・ルベーは、遠い存在だと考えていたトップドライバーがそれほど離れたところにいないことに気づいたようだ。
FFSAが支援するルベーのWRカーデビューは新型コロナウイルスの流行で遅れることになったが、ヒュンダイi20クーペWRCのデビュー戦となった7月末に行われたERC開幕戦のラリー・ディ・ローマはダニエル・ソルドとスクラッチで争う最初のチャンスとなり、そして先週末のラリー・ディ・アルバではティエリー・ヌーヴィルとオイット・タナックという選手権を争う二人と対戦することになった。
ヒュンダイによる2週間にわたるイタリアのラリー参戦プログラムにはレギュラードライバー全員が1戦ずつ参加したが、彼らはタイムを出すことより、世界ラリー選手権が再開したあとのターマックラウンドのためのセットアップの熟成に集中しており、WRカーという新しいマシンを学ぶために必死だった新人ルベーのアプローチとはまったく意味が異なるものだった。
2週間連続してWRカーをドライブしたルベーは、イタリアでの冒険について多くの発見に満ちていたとふり返った。
「待ち望んできたので、WRカーでデビューできてとても嬉しいよ。自分のパフォーマンスに少し驚くこともあったので、本当に嬉しいね。路面やコンディションによってタイムは大きく変化するので、彼らとの正確なギャップを想像するのは難しいとしても、予想以上に踏み込むことができたと思ったよ」
ルベーは、ローマではソルドのミスによって初日をリードすることになり、アルバではシェイクダウンでタナクとヌーヴィルを共に押さえてトップタイムをマークしてみせた。
「とくにデビューしたばかりのローマでのタイムに満足しているよ。ダニ(・ソルド)が話してくれたんだけど、一部の人が言っているより彼はずっとハードに攻めていたと言っている。アルバでは今度はヌーヴィルとタナクと戦うことになったが、ヘアピンでのスピンで10秒を失ったことを除けば、タナクにもいつも迫ることができた。とくに17kmのロングステージでは本当に悪くなかったよ(1回目で1.4秒遅れ、2回目で1.5秒遅れ)。このラリーのことはよく知らなかったし、去年はラリープログラムのためターマックでの練習をする機会はあまりなかったが、今回のWRカーは僕にとって進化の転機になったように思う。自分でもよくやったと思うよ。まだまだやることはたくさんあるけどね!」
ルベーは、初めてドライブするWRカーは苦労するというより信じられないほど楽しい経験だったと語った。
「今回のアルバの最初のステージのフィニッシュでタナクとの2秒差だったことを知って本当にびっくりしたし、かなり嬉しかったよ。WRカーは素晴らしいの一言に尽きるし、速いラインでは(R5マシンと違って)息をする暇もないほどし、空力に助けられているので信じられないほど高速のマシンだ。とにかく僕の目標だったWRカーにやっと乗れて、しかもそこそこ速かったので嬉しさでいっぱいだよ!」
ルベーは自身とトップドライバーの差は、路面が汚れているときの対処の仕方だと捉えている。
「かなりクリーンな路面では本当に良かったけれど、走行で土がでているところでは他のドライバーに比べて攻撃力に欠けていた。走行順もあるし、経験から来るものもある。彼らは最高レベルになるのに10年かかり、僕は多くのことを発見しはじめたばかりだ。時間はかかるし、WRカーについてもまだまだ学ばなければならない」
ルベーには1か月後、ラリー・エストニアでのWRCのトップカテゴリーデビューが待っている。
「待ちきれないよ。フィンランドのようなプロフィールのようだね。大好きだけど、どうなるかな。インカーカメラを見て、準備をしたいと思うけど、あまり調子に乗らずにがんばるよ。エストニアの前に1日テストできるので、様子をみてみる。チームからはこれだけのサポートがあるのは素晴らしいことだよ」