WRC2025/04/24

ロヴァンペラが圧巻の最速、勝田が2番手

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 2025年世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・イスラス・カナリアスのシェイクダウンでトヨタGAZOOレーシング・ワールドラリーチームのカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)が最速タイムを記録、チームメイトの勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)が2.5秒差の2番手タイムを記録した。

 WRC初開催となるラリー・イスラス・カナリアスは木曜日の朝、6.26kmのサンタ・ブリジダ・ステージで行われたシェイクダウンで戦いの幕を開けることになった。

 2度のワールドチャンピオンに輝いたロヴァンペラは、今季まだ勝利を飾ってないものの、シェイクダウンの1回目の走行から火が点いたような速さをみせてライバルたちを圧倒、4分13.1秒のトップタイムをマークすることになった。ロヴァンペラのタイムはライバルたちをこの短いステージで4秒も上回るもので、走行によってクリーンな路面になった2回目の走行でも誰も破ることができないという圧巻の速さだった。

 ロヴァンペラは2回目の走行でも自身のタイムをさらに3.1秒も上回る4分10.0秒のタイムを記録してシェイクダウンをあとにしている。

 ロヴァンペラは1回目の走行後、ステージエンドでライバルたちに比べWRCのターマックでの経験がやや不足していると認めたように、雪と氷がある今年のモンテカルロを除き、彼が最後に出場したのは1年半前のラリー・ジャパンが最後のフルターマックだ。それだけに彼の速さは印象深いものだった。

「本格的なターマックラリーに出場するのは、実に久しぶりのことだ」とロヴァンペラは語った。

「素晴らしいターマックで、ここではドライビングが全てだろう。だが、新しいペースノートで初めて走るステージのため本当に厳しい週末になるだろう。簡単ではないが、もちろん楽しみ、ベストを尽くしたい」

 ロヴァンペラが言うように多くのドライバーにとって、カナリアスの最初の課題はペースノートの作成だった。レッキの際には道路が閉鎖されているわけではなく、おまけに観光地であるグラン・カナリア島は一般車で混んでいるため、崖が続くブラインドのコーナーをはじめとして実際のラリーで走行するラインをドライバーは完全に確認できたわけではない。

 昨年、ERCラウンドだったラリー・イスラス・カナリアスのレッキに参加したエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)は、そのときに作成したノートはほとんど役に立たなかったと認めている。「スペシャルステージもとても美しく、ラリーも楽しそうだ。ペースノートの作成は通常よりも困難になったが、最大の課題は新しいタイヤを理解することだ」。

 エヴァンスはシェイクダウンの1回目に続いて2回目の走行でもロヴァンペラに続いて2番手タイムを出したあとシェイクダウンを締めくくったために5番手にポジションダウン。3回目の走行を行った勝田が2.5秒差の2番手タイム、ヒョンデのオイット・タナク(ヒョンデi20 N Rally1)とティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデi20 N Rally1)がともに勝田から0.4秒差の3番手タイムで並ぶことになった。

 勝田は、前戦サファリ・ラリーでは最終ステージでクラッシュするという悲惨な結果に終わったが、まるでサーキットのようなカナリアスのステージでは速さをみせることになった。「もちろん簡単な週末ではないでしょう。レッキは難しく、ペースノートの作成は簡単ではありませんでした。でもいい結果がほしいのでがんばりたいと思います」

 タナクも複雑なレッキだったが、それもラリーの一部だと笑顔でコメントしていた。「レッキは渋滞で非常に複雑だったが、これからが楽しい部分だ」。

 タナクが笑みをみせたのもわけはない。前戦のサファリ・ラリー・ケニアでドライバーたちは、不適切発言をめぐるFIAの姿勢に抗議するためにステージエンドでは無言による抗議を行ったが、話し合いによって問題は解決したため、カナリアスのシェイクダウンではドライバーたちはレポーターのマイクにやっと答えることになった。ヌーヴィルも緊張した前戦のことを思いだしたかのように笑顔を弾けさせていた。「ステージエンドでマイクで反応するのは気分がいいことだし、自分たちの意見を表現できるようにFIAと合意できたのはよかった。

 シーズン2度目の参戦となるセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリスRally1)も2度の走行で切り上げたため、エヴァンスから0.2秒差、トップからは4.3秒遅れの6番手タイム、アドリアン・フールモー(ヒョンデi20 N Rally1)が7番手タイムで続いている。

 フールモーは2020年にヨーロッパ・ラリー選手権として行われたこのイベントで優勝しているが、その結果が今回どれだけ役立つかについては慎重な姿勢を魅せている。「2020年のラリーでは優勝したが、その時はずっと雨が降っていたので、ステージはあのときとは全く異なっている。コーナーからコーナーへと続く、本当に過酷なステージだ。タイヤマネージメントが今週末の最大の課題になると思う」

 サミ・パヤリ(トヨタGRヤリスRally1)は3回の走行を行ったが、ターマックのペースに苦しみトップから5.5秒遅れの8番手タイム、グレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマRally1)が9番手、ジョシュ・マクアリーン(フォード・プーマRally1)が10番手で続いている。

 また、WRC2ではニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRS Rally2)で1回の走行のみだったにもかかわらず最速タイムを記録し、スペイン・スーパーチャンピオンのアレハンドロ・カチョン(トヨタGRヤリスRally2)を0.8秒差で抑えている。

 ラリー・イスラス・カナリアスは木曜日の夜に州庁舎前の広場でスタートセレモニーを行い、金曜日の朝から3日間にわたる戦いが始まる。