WRC2025/06/03

新・旧Rally1カーはほぼ同じ速さ

(c)Toyota

 2025年からWRCのトップカテゴリーはハイブリッドを取り外したRally1カーで争われているが、その速さはハイブリッドRally1カーとほとんど変わらないことがラリー・デ・ポルトガルのステージタイムから明らかとなった。しかも、ほとんど変わらないどころかまったく同一の速さのステージもいくつかあったことから、FIAのテクニカルレギュレーションの調整がきわめて精度が高いタイムのシミュレーションの結果に基づいていたことも判明している。

 ハイブリッドRally1カーの最大パワーはエンジンパワー+ハイブリッドブーストでおよそ500馬力だったと公表されていたが、2025年のRally1カーではエンジン単体のパワーとなり、およそ370馬力に減っている。

 2025年のRally1カーは、それまで搭載されていたおよそ80kgのハイブリッドユニットが取り外され、それまで1260kgだった車両最低車重は1180kgへと変更されている。

 FIAはさらに2025年のエンジンの吸気のためのエアリストリクターをそれまでの直径36mmから35mmへと小径化してパワーを絞っているが、これは新・旧Rally1カーのパワーウエイトレシオ(1馬力あたりの車両重量)を揃えるためだと、FIAの技術・安全部門の最高責任者であるグザビエ・メステラン‐ピノンは明かしていた。

 2025年のラリー・デ・ポルトガルでは新しいステージがルートに加わったとはいえ、ほとんどのステージは前年のコースとほぼ同一であり、路面コンディションもほぼ同一であったことから、新・旧Rally1カーの速さを比較するうえではこれ以上ない条件だったといえるだろう。

下に2024年と2025年のステージでのベストタイムの1kmあたりの平均速度を並べてみた。ステージの距離はわずかな変更があることから、平均速度で新・旧のマシンの速さを比較したが、その数値は驚くことにほとんど変わらないものだ!

 とくにカベセイラス・デ・バストのステージは、1回目の走行も2回目の走行も1kmあたり0.1秒も変わらないまったく同タイムだった!

 なお、アマランテは2024年に37.24kmだったものが、今年は22.10kmへと短縮されたにもかかわらず、平均タイムは2km/hあまりも落ちているが、これはカットされたコースが序盤のターマックを中心にしたセクションだったことが影響している。

モルタグア1
2024年 94.6km/h 2025年 94.7 km/h

モルタグア2
2024年 95.5km/h  2025年 95.2km/h

ロウザ1
2024年 82.0km/h  2025年 81.2 km/h

ロウザ2
2024年 82.9km/h  2025年 81.9km/h

ゴイス1
2024年 94.1km/h  2025年 94.1km/h

ゴイス2
2024年 94.8km/h  2025年 94.9km/h

アルガニル1
2024年 96.2km/h  2025年 96.8km/h

アルガニル2
2024年 96.8km/h  2025年 99.5km/h

アマランテ1
2024年 92.7km/h  2025年 90.7km/h

アマランテ2
2024年 92.5km/h  2025年 90.8km/h

カベセイラス・デ・バスト1
2024年 89.8km/h  2025年 89.8km/h

カベセイラス・デ・バスト2
2024年 90.9km/h  2025年 90.9km/h

フェルゲイラス1
2024年 92.1km/h  2025年 91.7km/h

フェルゲイラス2
2024年 91.7km/h  2025年 92.7km/h

ファフェ1
2024年 101.8km/h  2025年 103.3km/h

ファフェ2
2024年 104.9km/h  2025年 105.2km/h