WRC2024/02/29

来季からRally1カーのハイブリッドが廃止に

(c)Hyundai

 世界ラリー選手権のトップカテゴリーは、来季もRally1カーで争われるが、ハイブリッドなしのマシンとなり、新たにWRCキットを装着してパフォーマンスを向上させたRally2+カーが選手権に登場することになる。

 FIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は、昨年12月に結成されたWRCワーキンググループが提出したWRCの将来に向けたロードマップにゴーサインを与えることを決定した。このなかにはWRCのフォーマットに関するスポーティングレギュレーションの変更やとともに現在のハイブリッドRally1カーの大幅なテクニカルレギュレーションの変更が含まれる。

 現在のRally1カーは2025年と2026年の両方でWRCのトップカテゴリーのマシンとして継続するが、コストとパフォーマンスを削減するための改良が施される。プラグインハイブリッドユニットは廃止され、エアリストリクターの縮小化、エアロの削減がされるが、全体の重量は軽減されることによってパフォーマンスが補われる。

 Rally2カーは、国内および国際シリーズのベースとして、ホモロゲーション期間中、現行の形態で継続される。しかし、2025年以降のWRCイベントに参戦するRally2カーは、トップカテゴリーのRally1カーとの性能差を縮小する目的で、より大きなリストリクター、より大きなエキゾースト、オプションのパドルシフト・ギアボックス、リヤウイングからなるWRCキットを装着して走行するオプションが与えられる。

 2026年以降、WRCのトップレベルカテゴリーであるRally1のテクニカルレギュレーションは、現行のRally1のコンセプトに基づいて改訂されたものが導入される。このレギュレーションは、2026年シーズンから現行のRally1レギュレーションと並行して実施される。

 この新レギュレーションでは、コストと複雑さを軽減するために共通のセーフティセルを使用し、マニュファクチャラーだけでなく、チューナーも、Bクラス、Cクラス、コンパクトSUVなどの市販モデルや、性能の均等化を図るために重心や空力などの厳しい技術基準に基づいて設計されたコンセプトカーをベースに、独自の車体を持つマシンを開発することができる。

 エンジン出力は330hpを目標とし、その性能は全車共通の基準トルクカーブによって制御される。エンジンとトランスミッションにはコスト上限が設けられ、その技術はRally2同等に制限される。空力効率は、開発とコストを削減するために最高速度制限とともに制限される。

 1台あたりのコストは40万ユーロ(およそ6500万円)を上限とし、WRCメーカーはWRCイベントのフィニッシュ・パルクフェルメから直接販売できるようにすることが義務づけられる。

 2025年シーズン以降の新しいWRCスポーツレギュレーションとテクニカルレギュレーションはWRCワーキンググループの勧告に基づいてWRC委員会が起草し、6月のWMSCで批准されるのを待って発表されることになる。

 また、WRCワーキンググループは、FIAの技術部門に対してRally1カーのセーフティセルを利用した電気カテゴリーのマシンの適切な技術規則を確立する、持続可能な燃料で走るRally1カーと同等の性能を達成できるような適切な技術規則できるかぎり早い時期にを確立するよう勧告している。