ERC2019/07/25

疑惑の測定? ルクヤヌクが車両違反に反論

(c)ERC

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 サンテロック・ジュニア・ラリーチームのアレクセイ・ルクヤヌクは、先週末に行われたERC第5戦のラリー・ディ・ローマ・カピターレでホイールベースの寸法が規定に違反していたために1分のペナルティを課されたことに納得がいかないと憤りを露わにした。

 ルクヤヌクは2位で迎えた最終日、彼のシトロエンC3 R5のホイールベースに規定違反があったことをスチュワードから宣告されている。スチュワードによれば、ラリー初日のデイサービスの前に行われた抜き打ちの車両検査において、ルクヤヌクのマシンは左右のホイールベースともにホモロゲーションで申請されている2543mmを大きく上回っていたという。彼のホイールベースは左右それぞれ3回の測定が行われ、左側は平均値2570mm(測定3回とも2570mm)だったが、右側は平均値2571mm(測定1回目2573mm、2回目と3回目は2570mm)と検査員から報告され、いずれも測定誤差として許容される1%の上限である2568.4mmを2mm近く超えていたことからスチュワードは1分のペナルティを彼に課している。

 ルクヤヌクのマシンはラリー後に行われた再車検で審議の対象となり、ラリーの最終結果は、深夜になるまで発表されず、ルクヤヌクは、このペナルティに関して沈黙を守ったまま帰国の途についていた。最終的に確定したリザルトでもルクヤヌクの1分のペナルティは除外されることなく、彼はそのまま4位でのフィニッシュとなっている。開幕戦以来これまで選手権をリードしてきたウーカシュ・ハバイが初日のクラッシュでリタイアとなったため、ルクヤヌクは第5戦にして初めて選手権リーダーとなっているが、もしペナルティがなければ首位とはわずか3秒差の2位だったことになる。

 ルクヤヌクは、自身のSNSにおいて、いったいラリーで何が起きたのか、さまざまな疑惑を投げかけている。

「簡単に言うと、車軸間のホイールベースがホモロゲーションよりも約2mm長かった。測定はラリーの25%に満たない、初日のデイサービスの前の最後のステージの後に行われた。測定後、マシンはパルクフェルメに到着し、その後サービスゾーンに到達するまで8分かかった。その時、僕は気づいてなかったよ、何かが間違っていることにね」

「僕らがサービスに入ったとき、チームのエンジニアとメカニックはすぐにFIAテクニカルデリゲートのリオネル・カーレの前でホイールベースを測定した。そして、その数値はラリーの前にワークショップでチームがチェックのために測定した数値と同じだった! 左右両サイドともに2565mmだ! それについてFIAテクニカルデリゲートのカーレからの回答は、『サービス前に調整された可能性がある』だった!」

「しかし、モータースポーツの世界にいれば誰でも、ホイールベースを5mm調整することは絶対に不可能であることを理解しているよ。しかも両側ともにね。パルクフェルメからサービスまで市内を約1kmで僕らは8分かかったが、それらのうちの5分はサービスの前におかれるタイムコントロール前で待っていたことが、GPS追跡によってチェックできているんだ」

「ところで、今回、サンテロックからはチームメイトとして新井大輝が同じくC3 R5で出場している。彼のマシンもこのチェックの際に2570mmと僕と同じく規定を2mmオーバーしていたが、車検委員がふたたびチェックしたときには2566mmという規定内の数値だった。僕たちのエンジニアは新井のC3R5も担当しており、2台のマシンはホイールベースなど同じホイールアライメントを持っていた」

「チームは今日(火曜日)にワークショップに戻り、再びホイールベースをチェックした。どうして車検員がミスをしたのかを理解するためだったが、前輪が完全に真っ直ぐでなくても、ホイールベースは適合した数値だった」

「(デイ1を終えたあと)土曜日の夜に、サンテロック・チームのマネージャーのヴィンセント・ドゥシエ、エンジニアのレミ・ヴェラク、そしてFIA スチュワードのミーティングが行われた。FIAテクニカルデリゲートとリオネル・カーレの管理下で行われたサービス中の措置を含むすべての説明が行われた。チームエンジニアのレミは、このマシンがすべての規制とホモロゲーションを遵守し、彼はラリーの最後までマシンに変更を加えないと述べた。さらにチームは、ホイールベースの両側ともに2565mmと記載されたラリー前にチェックしたデータシートを提示したんだ。これはきわめて弱い証明だったが、スチュワードから発表された書類でもこのことは記されてはいるが、そのほかには何も触れられてはいなかった」

「しかも、スチュワード決定として『FIAテクニカルデリゲートのリオネル・カーレはFIA測定方法に従ったものであることを確認した』と記載されてはいるが、彼はパルクフェルメで測定時の手順には不在だったし、この会議に出席していなかった!」

「物語には別の側面がある。このペナルティは1日遅れて日曜日に我々に通知された(リグループ中の11時30分のことだった。すでにラリーの70%を後にしていた)。そして僕らはまだラリーをしていたので、スチュワード決定の通知の後に我々はアピール(抗議)をする時間がなかった(規則では最大1時間までだ)。そしてそれは1分のペナルティだった! それは物事を劇的にひっくり返した。もっと早く知っていれば、3位でいることができたかもしれない。もちろん、アンドレア・クルニョーラは僕らより速かったが、僕らは彼に対抗する戦いを開始するのが遅すぎたんだ!」

「ミーティングは土曜日の夜に行われたが、僕らのラリーと選手権にとって重要な決定がなされたのはたかだか翌日になってだった。そして、決定的にわからないのは、なぜ僕らに1分のペナルティが与えられたかだ。例えば、エマ・ファルコンの23号車(同じくシトロエンC3 R5)も僕と同じ状況でホイールベースが規定をオーバーしていたにもかかわらず、30秒のペナルティだったからだ!」

「いくつか僕には符に落ちないところがある。チームはラリーの終わりまで、けっしてマシンに何の調整もしなかった! レグ2でもスチュワードによるホイールベースのチェックはこれ以上なかった! チームは各サービスでホイールベースをチェックしたが、それは同じだった! 他のマシンの測定値に奇妙な偏差がある! そしていくつかの噂だ! 結局、このペナルティはラリーのスポーツ部分に大きな影響を与え、競争自体を変えてしまった。『もしも』と言うつもりはないが、このイベントを1位から3秒差で終えていたことだってあったし、選手権でも22ポイントではなく29ポイントを獲得できていたことだってありうる。誰だっておかしいと思うよね・・・」