TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、1月23日から26日にかけてモナコおよびフランスで開催されたラリー・モンテカルロに出場、WRCでもっとも難易度が高いとされる伝統のラリーで、小暮はRC2クラス13位で、山本はデイリタイアを喫しながらもRC2クラス25位で完走した。
世界で最も長い歴史を誇り、最も有名なラリーのひとつであるラリー・モンテカルロは、フレンチ・アルプスの峠道を走行するターマックラリーだ。雨が降ればウェットコンディションとなるが、それだけでなく、標高が高いエリアでは路面に積雪や凍結区間もあるなど、様々なコンディションとなることで知られている。今年のラリー・モンテカルロも路面の状態が頻繁に変化し、さらには路肩から泥や砂利が大量に掻き出され、非常に難しいコンディションとなっている。
小暮と山本がこの伝統の一戦に出場するのは今回が初であり、二人はトヨタGRヤリスRally2のステアリングを握り、WRC屈指の難関ラリーに挑んでいる。
今大会での二人の目標は、今まで経験したことがないようなコンディションの道で、できるだけ多くの経験を積むことだった。木曜日の夜に競技がスタートすると彼らはまずまずの滑り出しを見せ、暗闇に包まれたデイ1の3つのナイトステージを無事走破することになった。フルデイ初日となる金曜日のデイ2では山本は¥SS7でコースオフを喫してスタックしたが、その後観客の助けを借りて脱出に成功。一方、小暮はSS9の途中でタイヤ交換をしたため、大きな遅れをとることになった。
土曜日のデイ3は路面のコンディションが全体的に好転したが、依然チャレンジングなセクションも多くあり、山本はSS12の凍結したコーナーでコースオフ、木に当たってクルマにダメージを負いデイリタイアとなっている。彼と新しいコドライバーのジェームズ・フルトンに怪我はなかった。彼らは翌日のデイ4で再出走し、有名なチュリニ峠を含む最終のパワーステージではRC2クラス6番手のタイムを記録。RC2クラス25位で完走しました。
一方、小暮とコドライバーのトピ・ルフティネンは用意された全てのステージを、とくに大きなミスをすることなく走破。31台のRC2クラス参加車両の中で、13位という結果でフィニッシュすることになった。
小暮ひかる:「初めてのラリー・モンテカルロで良い経験を積むことができました。このイベントは特別で、他のラリーではこのような経験はできないので、かなり注意して運転しクルマをフィニッシュに導くことができました。開始早々から、このイベントの典型的ともいえるコンディション、つまり大量のアイスと泥が路面にあってグリップを読み取るのが難しかったので、簡単ではありませんでした。土曜日はドライの路面が多かったので自信を持つことができました。しかし、最終日にはまた大量の泥とアイスがあり、リズムをつかむのが難しかったです。それでも、この週末に多くを学び、大きく改善することができたので、良かったと思います」
山本雄紀:「今回のラリーは非常に厳しく、おそらく自分がこれまで経験してきた中で最も難しいターマックラリーでした。路面がドライのときはそれほどでもありませんが、ラリー前と夜間に降った雨で泥とアイスが路面に広がり、非常に難しくなりました。さまざまな路面での走り方を経験できたのはとても良かったです。土曜日のSS12では、アイスがあるコーナーを過小評価してしまいました。その前のステージで、アイスパッチがそれほど酷くなかったという事実をもとに判断してしまったのです。幸いにもチームがクルマを修理してくれたので、最終日は良いアプローチができていると感じながら、楽しんで走ることができました。また、今回がジェームズと組んだ初めてのラリーだったにもかかわらず、すぐにとてもいい仕事ができたので、彼に感謝しています。これから一緒に良いシーズンを送ることができると確信しています」
チーフインストラクターのユホ・ハンニネンは次のように二人のラリーをふり返った。
「私たちは、このラリーに挑む前から、ひかると雄紀にとって大きなチャレンジになるだろうと予想していたが、実際その通りになった。イベント前に行なった3日間のテストが、ドライで非常に良いコンディションだったのに対し、ラリーでは近年になく難しいコンディションだったという点で、私たちは少し不運だった。それもあって彼らにとっては本当に難しい状況だったが、うまく切り抜けてくれたと思う。雄紀は土曜日にアイス路面でミスを犯したが、そこから学ぶべきことはあったはずだ。日曜日に良いペースで走り、うまく立ち直ったのは良かったと思う。一方、ひかるはすべてのステージを走り切り、ポジティブな経験を得ることができた。彼らが次回このラリーを走るときには、今回の知識を活かすことができるので、きっと楽に感じられるだろう」
小暮と山本の次戦は、2月13日から16日にかけてスウェーデン北部のウーメオーを中心に開催される、第2戦ラリー・スウェーデンとなる。雪と氷に覆われたシーズン唯一のフルスノーイベントで、小暮と山本は2024年に初めてWRC2クラスに出場しており、2年目となる今年は昨年以上のスピードと結果が期待されている。