WORLDWIDE2025/03/11

2期生山本がフィンランド選手権初表彰台を獲得

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかると山本雄紀が、3月8日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第3戦SMサヴォリンナ・ラリーにトヨタGRヤリスRally2を駆って出場、2025年のウインターシーズンを締めくくるこのスノーラリーで山本がSM1クラスで3位フィニッシュ、選手権トップカテゴリーでの初表彰台を獲得し、小暮も好ペースを維持して5位で続いた。

 フィンランド南東部のサヴォンリンナをベースとするこのラリーは、今年からフィンランド・ラリー選手権のカレンダーに加わり、第3戦として開催された。そのためTGR WRCチャレンジプログラムの全選手にとって、未知なるステージでの戦いになった。摂氏0度以上という、この時期のフィンランドとしては比較的高い気温により、路面の雪や氷は一部が溶けてシャーベット状に。また、雪の下のグラベルが露出している区間もあるなど、グリップレベルが頻繁に変化する、非常に難しいコンディションでの戦いとなった。

 TGR WRCチャレンジプログラムの2期生である山本と小暮にとって、フィンランド選手権のラリーへの出場は約1年ぶりとなり、彼らは最初のステージを手堅く走り終えた後、徐々にペースを上げて行くことになった。他のドライバーたちが滑りやすいコンディションでコースオフするなどしてタイムを失うなか、山本とコドライバーのジェームズ・フルトンはSS4で3番手タイムを記録し総合3位に浮上。続くSS5ではフィンランド選手権で4度チャンピオンを獲得しているテーム・アスンマーに1.1秒差まで迫り、最終ステージに臨んだ。

 最終ステージでの山本は、アスンマーよりも6.3秒速い2番手タイムを記録しポジションを逆転。TGR WRCチャレンジプログラムのインストラクター、ユホ・ハンニネンをコドライバーに迎えて出場し、序盤の遅れから挽回したTGR WRTのチーム代表ヤリ-マティ・ラトバラ(GRヤリスRally2)に次ぐ、総合3位を獲得することになった。

 ラトバラと山本のタイム差は僅か1.4秒だったが、山本にとってはこれがフィンランド選手権トップカテゴリーでの初表彰台となり、優勝したエサペッカ・ラッピとラトバラという二人のWRC優勝経験者に囲まれるという、晴れ晴れしいポディウムとなった。また、コドライバーのトピ・ルフティネンと共に出場した小暮は、総合5位でフィニッシュした。

山本雄紀(SM2クラス3位):「表彰台に立つことができて本当に嬉しいですし、自分にとっては特別なリザルトです。序盤はトリッキーなコンディションに驚いて慎重になり過ぎましたが、その後はドライビングと考えかたを調整することができました。最終ステージを前にギャップが僅差であることは理解していましたが、それまで通りの走りを続けることを心がけ、上手く行ったと思います。ヤリ-マティとユホとのバトルは本当に楽しかったですし、彼らはステージの合間にもいろいろアドバイスをくれました。今回はヤリ-マティの方が速かったですが、彼から学び今後のレベルアップに繋げたいと思います。スウェーデンでは少し苦戦したので、この素晴らしい結果とパフォーマンスを出して冬を締めくくることができて、ホッとしています」

小暮ひかる(SM2クラス5位):「私にとっては簡単なラリーではなく、コンディションに苦しみました。出走順が前のドライバーたちがコーナーをカットしたことにより、コーナリングライン上にたくさんの新雪や、シャーベット状の雪が掻き出されていたため、グリップレベルは数メートルごとに変化していました。予想が難しく、自信を持って走ることができなかったので、少しペースを落として慎重に走り、フィニッシュすることができました。このようなコンディションで学ぶことができたのは良かったですし、スピードには満足していませんが、走行距離を稼ぐこともできました。今後のために今回の経験を分析し、次のラリーではより良い結果を出せるようにしたいと思います」

 チーフインストラクターを務めるミッコ・ヒルボネンは次のようにふり返っている。

「非常に難しいコンディションでのラリーになったが、我々のドライバーたちは全体的に良い仕事をしてくれたし、素晴らしい結果を残すこともできた。柔らかいシャーベット状の路面、グラベルが露出した路面、凍結した路面など、グリップを判断し自信を持ってプッシュすることが難しいコンディションだった。そのような状況で山本が経験豊富なドライバーたちを相手に総合3位でフィニッシュしたのは素晴らしいことだし、今回の結果は彼の自信につながるだろう。小暮もまた何度か速い区間タイムを記録し、グリップを予測しにくく、難しい状況下でも、クリーンなドライビングを続けた。全体的には、彼らにとって非常にポジティブな最初のウインターシーズンとなり、様々なコンディションで多くの経験を積むことができた」

 小暮と山本の次戦は、4月24日から27日にかけて行われる、WRC初開催のラリー・イスラス・カナリアスとなる。