WRC2022/05/24

3位逃した勝田「もっと速く走れるようなりたい」

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの勝田貴元は、先週末に行われたラリー・ポルトガルで惜しくもWRCヨーロッパ・ラウンドでの初表彰台を逃したが、GRヤリスRally1で臨んだ初のグラベルラリーで総合4位を獲得しており、「さらに速く走れるように努力を続けたい」と熾烈だった戦いをふりかえっている。

 勝田は19日の夜に古都コインブラの市街地で行われた短いターマックステージを7番手タイムでスタート、グラベル路面のステージを走行するフルデイの初日である20日金曜日は、例年以上に荒れたステージで多くの選手がクルマとタイヤにダメージを負うなか、彼もまたSS6でハーフスピンを喫したものの総合4位に順位を上げている。

 21日土曜日は、勝田は総合3位につけるヒョンデのダニ・ソルドを猛追、SS12でついにソルドをとらえ、総合3位に順位を上げている。勝田はこの日、ステージ3番手タイムを4回記録、ラリー最長のアマランテでの突然の降雨にも落ち着いて対処し、ソルドに対するリードを14.6秒まで拡げている。ところが、ポルト市街地の石畳の上で行われた最終ステージで、勝田はソルドから大きく遅れ、差は一気に5.7秒に縮小するも、総合3位の座を守り、ラリー最終日に駒を進めている。

 22日の最終日は、豊富な経験を持つソルドが徐々に差を縮めてきたが、勝田も渾身の走りで対抗、しかし、2.2秒をリードして迎えた最終ステージでついに逆転を許し、2.1秒差の総合4位でフィニッシュすることになり、残念ながら昨年のサファリ・ラリー・ケニア以来となる表彰台獲得はならなかった。

 それでもしかし、今年2回目の総合4位で貴重な選手権ポイントを獲得。ドライバー選手権におけるランキングを6位から3位に上げることに成功し、所属チームであるTOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationにもマニュファクチャラーポイントをもたらした。

 勝田は3位を失ったことを悔やみながらも次戦サルディニアにさらなるポジティブな気持ちで臨むことができると語っている。

「ポルトガルは常にタフなラリーですが、金曜日の路面コンディションは予想していた以上に厳しく、走りきることができただけでも良かったと思えるほどでした。しかし、土曜日のステージはとても走りやすくて自信もあり、クルマも非常にいいフィーリングでした」

「ダニとのバトルはとても楽しかったですし、日曜日の朝も彼の前を走ることができていました。ところが、最後のステージではダニがかなりプッシュし、残念ながら彼のタイムに対抗することができず順位を失ってしまいました。彼にはおめでとうと言いたいですが、チームに対しては本当に申し訳なく思います。前戦のクロアチアは、今回のような結果やパフォーマンスにはほど遠いラリーだったので、それに比べれば今週はかなり良かったともいえますが、何ともいえない複雑な心境です。カッレやエルフィンとの比較では、もっとペースを改善したいので、さらに速く走れるように努力を続けます。すぐに次のラリーが始まるので、前向きな気持ちで、自信を持って次戦サルディニアに臨みたいと思う」

 勝田のインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは次のようにふりかえっている。

「今回、貴元は本当にいいラリーを戦ったと思う。確かに最終結果は残念だったが、この週末に彼が成し遂げたことは、将来に向けて非常にポジティブなことであり、ソルドのようなドライバーを相手にポルトガルで2日間も3位争いをしたのは、本当に貴重な経験だ」

「土曜日の夕方に行われたスーパーSSは、貴元にとってアンラッキーだった。路面が急速に乾いていったことでコンディションが変化し、日中に築いたギャップをほとんど失ってしまったからだ。それでも、グラベルのステージではクルマにかなり満足していたようなので、今後のラリーにも期待が持てるし、今回ミスをすることなく走ることができていたのも重要なことだ。このような戦いにおいては、攻めながらも安定性が求められるが、それができていた。前戦クロアチアでの困難な時を経て、ポジティブな姿勢でサルディニアに向かうことができるはずだ」