ERC2019/08/19

ERC3ジュニアは混沌のリザルト変更、王者も変更に

(c)ERC

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 先週末に行われたERCチェコ・ラリー・ズリーンで、ERC3ジュニアのポディウムの頂点に立ったジャン-バティスト・フランセスキ(フォード・フィエスタR2T)のノーショナルタイムがゴール後に変更され、これにより優勝はラリー・チーム・スペインのエフレン・ヤレナ(プジョー208 R2)に変更されるとともに、ERC3ジュニア王座獲得に喜ぶエストニア・オートスポーツ・ジュニアチームのケン・トルン(フォード・フィエスタR2T)のタイトルは一瞬のうちに剥奪され、ヤレナがERC3ジュニアの暫定チャンピオンに変更されることになった。

 フランセスキは、ラリー・チェコの最終ステージを2位につけるヤレナに対して4秒をリードして迎えることになった。圧倒的なリードで最終日を迎えていたヤレナは、この日の朝、ブレーキのトラブルで2位に後退することになったが、タイトル争いをリードして5位につけていたトルンがパンクのために大きくタイムをロスしたことから、ヤレナの逆転タイトルの可能性が浮上することになった。ヤレナは最終ステージで4秒差をひっくり返してただ勝利するためでなく選手権を逆転するためにはフランセスキに11.8秒差をつけて、レグポイントを獲得する必要性があった。

 しかし、この最終ステージでは2度にわたってアクシデントが発生、2回目のマルティン・ブルチェックがクラッシュさせたヒュンダイi20 R5がコースを塞いだためにERC3ジュニアの全車に14分23.9秒という同一のノーショナルタイムが与えられることになり、そのまま4秒のリードを守る形でカテゴリー優勝を飾ったフランセスキとともに、トルンのタイトルがゴール地点で祝福されてそのままポディウム・フィニッシュを迎えることになった。

 だが、その後、クラーク・オブ・コース(競技委員)は、フランセスキのノーショナルタイムだけ他のドライバーより1分多い15分23.9秒に変更、この結果、フランセスキの優勝とともにトルンのタイトルは幻となり、ヤレナの逆転勝利と逆転タイトルが決まることになった。

 クラーク・オブ・コースはこの裁定について声明のなかで次のように説明している。

「SS15におけるカーナンバー42(フランセスキの車両)について新しい事実を発見したため、十分な審議を行った結果、カーナンバー42のノーショナルタイムを変更して、新たに15分23.9秒のノーショナルタイムを与えることを決定した」

 この「新しい事実」が当初、何を指しているのかについてはっきりとした説明はなく、現場でも混乱と動揺があったが、ERCは一夜明けた月曜日になって「フランセスキがこのステージがキャンセルされる前に重要な技術的な問題を抱えていたため、クラーク・オブ・コースは同じノーショナルタイムを与えることが不等だと判断した。この決定に怒っている人たちがいることを認識しているが、誰かを優遇したためではない」と声明を発表している。

 この裁定により、ヤレナはERC3ジュニア選手権において133ポイントを獲得して暫定トップでシーズンを終え、トルンはわずか1ポイント差の132ポイントで明暗がわかれることになった。しかし、この決定についてはまだ控訴の対象となっており、FIAが正式に承認するまでは、ヤレナはあくまでも暫定でのチャンピオンとなる。

「僕たちはすべてのドライバーと同じようないくつかの危ない瞬間があり、そのなかで限界で走ってきた」とヤレナは語った。「勝つ必要があることはわかっていたので、それに値する勝利だ。僕らは2年も懸命に挑み続けてきたが、ここまで勝てなかったからね。これまでのすべての支援に対してスペイン自動車連盟に感謝したい」