WRC2022/05/25

Rally1のコクピットの熱さは危険なレベル

(c)Hyundai

 先週のラリー・デ・ポルトガルで多くのドライバーたちがコックピットの温度を「安全ではない」と訴えている。

 コクピットの熱の問題は、昨年10月に行われたヒョンデの模擬ラリーテストで認識されていたが、今シーズンはモンテカルロやスウェーデン、クロアチアも気温が低いなかで開催されてきたため、外気温が30度を超えた先週末のポルトガルに至るまで問題が顕著化することがなかった。

 問題の中心は2022年型Rally1マシンのエキゾーストのレイアウトに起因しており、フロア中央のトンネルで集中化されるのではなく、車両の右側、ちょうどコドライバーが座る場所に配置されている。

 ポルトガルでは、金曜日だけでなく土曜日も熱中症に悩まされる者が多く、多くのドライバーたちがステージエンドで「熱さにやられた」とコメントした。

 ティエリー・ヌーヴィルは昨年からRally1のレギュレーションについてたびたび懐疑的な声を上げていたが、なかでもコクピットに熱の問題があることを明らかにした最初の一人だ。

「僕たちはあのマシンに初めて乗ったときから、それについてはかなり批判的だった。特にコドライバーは、コックピットを通るエキゾースト管のすぐそばに座っているからね。だから、とても熱くなるんだ。金曜の昼間にオイット(・タナク)が苦労しているのを見た。僕のコドライバーであるマルティン・ウィダーゲが金曜日の午後に苦労しているのも見た。だから、深刻な懸念がある。そのことは間違いない」

 勝田貴元はラリー最長の37kmのアマランテ・ステージでは、「すごく暑い!それにマシンの中でなにかが焦げて溶けているひどい臭いがしていた」と説明、快適なコンディションではなかったと語っていた。

 Mスポーツのクレイグ・ブリーンも同じくなにかが焦げている臭いに悩まされたが、それはコドライバーのポール・ネーグルのレーシングシューズが熱で溶けていた臭いだったと語った。

「正直なところ、本当にひどかった。パンクしたかと思ったが、実際にはポールのブーツが床の上に溶け出していたんだ。昨日のアマランテでは、溶けている匂いがして、火傷をしないように彼は何度も足を地面から離さなければならず、本当に大変だった」

 また、カッレ・ロヴァンペラも、早く対策を講じなければ安全性に問題があると考えている。

「正直言って、車内が熱すぎる。チームやFIAが監視して、レギュレーションを訂正するなり、どうにかする必要がある問題だと思う。車内が50度や60度になったら、脳は正常に働かないし、もう安全とは言えない」

 ヒョンデ・モータースポーツのチーム代表代理を務めるジュリアン・モンセは、この問題は非常に深刻で、次戦のサルディニアやケニアで気温が高い場合、クルーの健康面への影響が懸念されると説明、早急に対策を講じる必要があるというのが全体のコンセンサスだと語った。

「それは懸念事項だ。コックピットが熱いというのは、これらのマシンが発表された当初からわかっていたことだ。そのことはポルトガルで証明されたが、結局はそれほど暑くならなかったので、サルディニアが心配だ。そしてケニアで、彼らがステージを完走できるのかどうか、私にはわからない。本当に心配だ」

「現時点ではレギュレーションがまだ新しく、Rally1の構造、つまりサイドのエキゾーストに関連する問題なので、解決するためのトリックを見つけるのは難しいが、FIAと一緒にすぐに取り組むべき問題であることは間違いないだろう」