WORLDWIDE2023/01/17

TGR育成プログラムの大竹がアークティック表彰台

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生、大竹直生、小暮ひかる、山本雄紀が、2023年の初戦として、1月12〜14日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第1戦、アークティック・ラップランド・ラリーに参戦し、大竹と山本がSM3クラスでそれぞれ初のステージトップタイムを記録、大竹は過去最高のクラス2位でラリーを終えることになった。
 
 アークティック・ラップランド・ラリーは北極圏の入り口であるロヴァニエミを拠点にして凍った路面や雪深い森の中に設けられた11SS/230.27kmで争われた。3選手は、プログラム1年目の昨年、フィンランドのグラベルステージ、フランスとイタリアのターマックステージのラリーを経験しているが、今回は彼らにとって初めてのスノーラリーとなった。また、この時期のロヴァニエミは朝10時すぎに日の出を迎え午後3時前には日没となるため、日中の時間は短く、視界が困難なナイトステージに挑むことになった。

 3選手は、前輪駆動のRally4車両で競うSM3クラスにエントリー、将来有望なフィンランドの若手選手と戦うことになった。

 大竹は、賢明なドライビングでクラス4位で初日を終えると、2日目はさらに加速。2日目最初のSS6でクラス2位、SS7でクラス3位タイムを記録し、クラス2位に順位を上げた。続くSS8では自身初となるクラストップタイムを記録し、トップとの差を30秒以内に詰め、SS10のスピンで優勝争いからは遠ざかったが、昨年のラリー・ミッケリでのクラス3位を超える、自身最高のクラス2位でラリーを終えている。

「まだまだ改善すべき点はありますが、今回の結果をうれしく思っています。全ステージを通して一貫したペースを保つのは難しく、特に夜は雪が多い中で道が見えづらく、より難しかったです。ペースノートは、いくつかのトリッキーなコーナーでは少し安全寄りになっていたものの、全体としてうまく作れたことが結果に繋がりました。このラリーを通して大きな自信を得られたので、次のスノーラリーにもよい気持ちで挑めそうです」と大竹は語っている。

 山本は、SS1でクラス2番手タイム、最終のSS11で自身初のステージトップタイムを記録するなど、終始素晴らしいペースで走行、SS2で発生した燃料ポンプのトラブルで初日早々とデイリタイアとなったため、翌日再出走し、最終的にクラス8位でラリーを終えている。

「初めてのスノーラリーでしたが、事前のテストでクルマに対してとても良いフィーリングが掴め、うまく適応することができました」と山本は語っている。「昨シーズンは、良いタイムを出せたこともありましたが、安定性にかけていました。今回はよいリズムで一貫性を持って走ることができたので、最終順位にかかわらず、内容に対してとてもうれしく思っています。

 小暮は初日、低速コーナーでサイドに膨らみスノーバンクにスタックしてデイリタイアとなったが、翌日はSS6、SS11でクラス2番手タイムを刻むなど強い走りで復活し、最終的にクラス5位でラリーを終えている。

「4日間にわたってレッキをするラリーはこれまで経験したことがなく、各ステージも非常に長いのでとても体力を消耗しました。全般的にペースを掴むのに苦戦しました。特に高速セクションが難しかったです。ですが、講師陣と自分のドライビングを分析し、いただいたアドバイスのおかげでラリーが終わるまでには今回の路面に適したドライビングスタイルにアジャストし、よいリズムで走れるようになりました。次戦のラリー・スウェーデンでのWRCデビューに向けて緊張していましたが、今回のラリーの終盤でかなり自信がつきました」

 チーフインストラクターを務めるミッコ・ヒルボネンは、次のように3人の今年初戦を評価している。

「彼らにとって初めてのスノーラリーとなったが、3人とも表彰台争いできるスピードがあることはわかっており、最初から最後まで一貫してペースを貫けるかが重要だった。また、さらに新しいチャレンジとなったのは夜のステージで雪が降っていたときの視界の悪い中での走行、そしてタイヤのスタッドをうまくマネージメントすることが極めて重要だったが、3人とも非常にうまくこなしている」

「大竹は賢明なラリー運びをし、初日徐々にスピードを上げ、表彰台争いができるスピードを掴んだ。ポテンシャルを十分に発揮し、自信をつけたと思う。山本は、SS2で燃料ポンプにトラブルが発生してデイリタイアとなったが、翌日はプッシュしすぎることなく、かつ一貫して良いペースで走りきり、素晴らしい精神力を見せてくれた。小暮は低速のセクションで小さなミスがありアンラッキーだったが、うまく挽回し、翌日は良いリズムで走ることができた」

 3選手は、さらなるスノーラリーの実戦として、2月9〜12日に開催される、WRC第2戦ラリー・スウェーデンに参戦することになっている。彼らにとって、走行が3日以上にわたるラリーに参戦するのは初めてとなり、今回の経験、学びを生かし、多くの高速セクションとストレートを擁する高速スノーラリーでのWRCデビュー戦に挑む。